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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 秘密 ( No.346 )
- 日時: 2016/05/15 21:37
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
昔話に思わず少しだけ胃を痛めた。
まるで自分ののろけを聞かされているようで、かなり恥ずかしい。
「まぁ…そう言う訳で今に至っているのです。」
「あ、ああ…」
くすくすと笑う万里花の顔を見る限り、相当顔が赤いのだろう。
帰り道、2人並んで帰るのはずっとの習慣だった。
生徒会で遅れて帰ることになっても待っていてくれる。
今日だて帰るまでずっと待っていた。
お屋敷の前につく。
何時もと同じ。
お屋敷の前まで万里花を送る。
でも気持ちが通じ合っていると分かっているだけでこんなにも景色が違う。
「じゃあな。」
これで終わりだと思うと少し寂しい。
思えば毎日少し心細く思っていた。
もっと語りたい、そう思わされる。
でも別に気にしない。
明日も明後日も1年後だって、万里花は隣にいる。
「凛!!!」
背を向けた後で万里花が声をかけるのは珍しい。
記憶の中でもそう何度もあることじゃない。
思わず振り返った。
振り返るといつも以上に幸せそうに笑う万里花の顔。
「不思議ですけど…出会った時より、離れたくないという思いが強くなっている気がするんです。」
ニヤリ、と笑う。
その表情がアリスに似てきた。
自信満々で失敗するなんて夢にも思わない。
賭けをする時のアリスの表情に似ていた。
「俺も。」
満面の笑みを浮かべ、顔を赤らめながら近づいてきた。
その時は何の警戒心も抱かなかった。
チュッ
小さな音がした。
頬に優しくて温かい感触がした。
キス。
そう理解するのには数秒用いた。
「私はこれからも凛だけを見ていきます。」
そういって何時もの様に微笑んだ。
本当に…万里花には敵わないと思った。
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