コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 秘密 ( No.354 )
- 日時: 2014/05/23 17:44
- 名前: 雪 (ID: O.IpBlJV)
監禁状態で部屋から抜け出すトレーニングの最中だった。
窓から突然聞こえてきた足音。
そこに目をやれば圭がいた。
今一番会いたくて。
一番会いたくない相手。
圭は私を優しく抱きしめた。
温かくて懐かしい感触だ。
「…ほら、言った通りちゃんと見つけただろ?」
・・・この出会いは運命だから。たとえ生まれが違っても…絶対にアリスを見つける・・・
・・・僕はその声を見失わない。何度だって見つけ出してやる!!なんどでも!!・・・
覚えていた…それが嬉しかった。
見つけてくれた。
信じるって決めていた言葉。
でもそれを自分から疑った。
そんな自分を馬鹿だとも思った。
圭が嘘を言う訳が無い。
あいつは何時だって本気で人を助ける。
何時だって約束を見つけてくれる。
ギュッと圭を抱きしめた。
温かい。
懐かしい。
愛おしい。
こんな気持ちに出会えたのは紛れもなく圭のお陰だ。
その感情がこの後吉と出るか凶と出るか、私にだってわからない。
でも圭がいれば大丈夫だって思った。
それがあいつにとっての重荷になると分かって。
それでもなお思ってしまった。
圭ならきっと私を救ってくれる。
でもそれが本当に正しいか、私にはわからない。
けれど。
今はまだ別れたくない。
ずっと一緒にいたい。
「っで、君は何故ここに来たのか?」
圭の手をほどき、問い詰める。
「えっ…だってそりゃ…その…」
突然態度は一変してオロオロし出した。
こいつ、案外私より女子だな。
「いい、大方アレクシスに唆されたのだろう。」
唆された?と圭は続けた。
「私はただたんトレーニングに来ただけだ。今は密室から抜け出す練習中。
この頭に機密情報を抱えている身としてはそういった耐性が不本意ながら必要になる。
エリスもトールも私の手助けをしているだけだ。」
「密室からの抜け出し?」
足元にはロープも転がっている。
ついさっきまで縛られていたのだ。
頭に付けているカチューシャに隠しているピンでドアを開ける。
ガチャリッと気持ちいい音がした。
ほらな、と目で促す。
扉を開けると廊下につながっている。
「少し、この部屋に隠れていろ。トールと話をしてくる。」
そう言い捨てると有無を言わさず、部屋から飛び出した。