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Re: 秘密 ( No.366 )
日時: 2014/06/09 19:25
名前: 雪 (ID: bAREWVSY)

振り下ろされる直前。

ドンッと押し倒された。

冷たい床に体を強打する。

「っ——!」

声にならないうめき声が口から洩れる。

それからハッとした。

今、私を突き飛ばした人はどうなった?

振り返ると1人の男子生徒が倒れていた。

「…ケイ?」

倒れた男子生徒の背中に、随分見覚えがあった。

手を伸ばす。

ぬめっとしたものが手に絡め付く。

血だ。

「ケイ、ケイ!!」

落ち着け。

落ち着け。

こう言う時にはどうすればいい?

考えろ。

何のための頭だ。

けれど思考がうまく働かない。

「…てこい」

「えっ?」

「救急箱をとって来いと言ったんだ!!とっとといけ!!誰のせいだと思っている!?」

ひっ、と小さな悲鳴を上げて理科室から出ていった。

「ケイ…」

ギュッと抱きしめる。

愛しい。

何時もなら触れられない。

何時もならあり得ない距離。

涙が1筋だけ流れた。

顔を埋めたがすぐに顔をあげた。

傷口を確認しておかないと…

けれど傷口は腕に刺さった欠片だけ。

大きな動脈も切れていない。

変なところを打った感じもしない。

「…ケイ、タヌキ寝入りはいい加減にしろ。」

「ばれちゃった?」

全く…

心配した私が馬鹿だった。

「朝霧、救急箱を置いて外で待っていろ。」

ケイを起こすと、救急箱を開ける。

消毒薬と包帯を手に取る。

「手当てくらいはするよ。」

消毒をするとクルクルと包帯を腕に巻きつける。

「どうせ、話は聞いていたんだろう。」

「まぁね。」

朝霧は室内には気を配ると想像していたが、ケイがいるという事は注意を怠ったな。

私は圭に救われた。

私も誰かを救いたい。

「私、救って見せるよ。」

うん、と頷いた圭の言葉がとても心強かった。

それだけで何もかもうまくいく様な気がした。