コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 秘密 ( No.375 )
- 日時: 2014/10/31 19:41
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「アリス!!」
とっくに見慣れた秘密基地の。
開けた展望台。
金色。
金色の眩しい髪が一瞬視界を遮る。
視界が晴れると現れたのは。
控え目に笑った。
いつもと変わらないアリスだ。
綺麗な長い髪。
そしてそれにしっくりと合ったワンピース。
何時もと同じ。
いつもと変わらない。
「…おまたせ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「じゃあ…返事を…聞かせてもらっても良いかな…?」
コクリっ、と頷く。
「私は…」
ずっと伝えたかった。
振り返ると今までたくさんのことがあった。
10年前、ケイと出会った。
6年前、圭と別れた。
1年前、再会した。
リンを連れ戻すためにSpring Concertでマリーと一緒にリンを呼んだ。
4人でItemMemberを創った。
遊園地にも行ったし、夏には海にも行った。
祭の帰りにいなくなった私の心配をしてくれた。
病院のベットで動くこともままならなかった私に助ける、と言ってくれた。
文化祭ではマリーの為に歌わせてくれた。
アレクシスが来た。
事情を知っても離れたりなんかしなかった。
クリスマスは私を迎えに来てくれた。
…初めてキスをした。
大晦日も年明けも一緒に過ごした。
笑いながらパーティーをやった。
エリスが来た。
バレンタインにはマリーとリンが付き合う事になった。
トールが迎えに来た。
…また迎えに来てくれた。
圭から告白された。
長かった、と思う。
彼に出会い。
彼に圧倒され。
彼に惹かれ。
彼に救われ。
彼に恋をした。
この気持ちも痛みも。
全て圭がくれたもの。
「…私も」
辛くても。
捨てたくはない。
全部抱えきれなくても。
今は。
圭となら。
前に歩ける気がするから。
例え。
血塗られた未来しかなくても。
「圭が、好きです。」
自分の内にある気持ちを浮き彫りにして。
言葉にする。
私も変わったな、と思った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アリスの穏やかな笑顔。
これから先、何があるか分からない。
でも。
どんな壁が2人を切り裂いたとしても。
必ず。
会いに行くから。
アリスが苦しめられているなら。
助け出すから。
それでアリスが笑えるなら。
その先にこの笑顔があるなら。
どんなものにだって挑める。
「僕も…」
ヒョイッとアリスを抱えあげる。
小さい子供に高い高いという様に。
軽い。
抱え上がられ、驚いたアリスの顔は次第に恥ずかしそうな笑顔に変わった。
「アリスが好き。」
アリスには。
もっと広い世界を見てほしい。
世界にはまだ希望があるって。
伝えたい。
「僕と、付き合ってください。」
アリスはもう覚えていないだろう。
出会った時、何気なくかけた言葉を。
その言葉で1人の少年が救われたことを。
そしてその少年が10年もずっと、アリスに片思いしていたことを。
「喜んで。」
その言葉の後。
2人は優しく唇を重ねた。
何かがカチッとはまる。
音がした。
2人の想いは。
今日、ようやく交わった。