コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 秘密 ( No.379 )
日時: 2014/07/20 15:06
名前: 雪 (ID: vdS42JZF)

温かい…

店でちゃんとしたココアで飲むのは初めてな気がする。

なかなかの味だ。

「…」

はぁっ…と小さく吐息を吐く。

「アリス」

ん?と小さな声とともに顔を挙げた。

チュッ

唇に温かい感触がする。

キス。

「ちょっ!」

慌てて飛び退く。

ガタッと立ち上がった。

付き合っているのだからキスくらいはしているが、突然だった。

心の準備もなにも出来ていなかった。

圭は悪戯をしたようにニヤリっと笑う。

「付き合ってるんだからキスくらいしたっておかしくないでしょ?」

いけしゃあしゃあと言って退けた。

その笑顔が憎くもあるが愛しくもある。

「人目を考えろ!…それに突然過ぎるぞ!」

「だってアリス、落ち込んでるみたいだから。」

開いた口がふさがらないとはこのことだと実感した。

けれどくすっと笑ってしまった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

アリスが落ち込んでいる訳はしっている。

けれどせっかく今はアリスが何も知らない自分の隣で羽を伸ばしたがっている。

知っている、と白状してしまえばもうアリスはいつも通りの笑顔を見せないかもしれない。

そう思ったからまだ暫くは知らないふりをする。

キスをした後、アリスは恥ずかしそうに自分の席に戻った。

「でるぞ。」

店を出ると並んで歩いた。

「圭」

襟をぐいと掴まれ、引き寄せられる。

そしてそのまま唇を重ねた。

いわゆるキス。

離すと彼女は顔を真っ赤にしながら拗ねたように告げた。

「…仕返し」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

こちらからキスするのは…初めて…なのかな?

付き合って最初のキスはどちらからしたか分からないし…

「…仕返し」

ギュッと抱きしめられる。

圭のそのぬくもりにふと安堵する。

そのままもう1度キスをした。

恥ずかしくてこそばゆい気持ちが体を駈けめぐる。

「け〜い!!」

二人だけの世界に突然割りこまれたその声。

少しだけ茶髪がかった髪。

髪の長さは圭より少し長いくらい。

顔は圭にそっくりなのに少し大人びていて、女性的だった。

「…姉貴」

えっ、と小さく声が出た。

「初めまして、圭の姉の秋月香です!」