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Re: 秘密 ( No.383 )
日時: 2014/07/30 15:28
名前: 雪 (ID: w62UqG.W)

「…圭?別宅はあっちだが…」

手を引かれたまま寄り添う様に圭の後についていった。

そう告げても圭は止まらなかった。

その意味をなんとなく理解した。

こっちの道を辿った先には…圭の家。

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とりあえず家に呼んだのはよかった。

けれどいざ目の前にすると何とは無しに怖い。

人にこう言った話はしたことが無かった。

「…大丈夫だよ」

温かい。

長い手で。

小さい体で。

抱きしめてきた。

1人じゃないよ、と言わんばかりに。

きっと…アリスもこんなに怖かったんだ。

それでも彼女は勇気を振り絞って話したんだ。

「ありがと…」

ふふっ、と彼女は小さく笑った。

「10年前…」

ゆっくりと口を開く。

初めて話す。

でも、アリスだから。

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初めて圭の昔話を聞く。

きっと暗くて深くてドロドロの話なのだろう。

でも何故だか少し嬉しい。

圭が初めて自分のことを話してくれるのだから。

少し不謹慎かな。

「10年前…アリスと出会った時、正直救われたんだ。」

救われた…

「悪い…覚えてない…」

もう10年前のことなんて覚えてない。

圭達と出会った時のことは…もう覚えていない。

へへっ、と笑った。

圭も少し笑っていた。

「…知ってるよ」

ずっと思いだしたかった。

でも思いだすことが出来なかった。

「…聞かせてくれ。」

私は知りたい。

どうやって出会ったのか。

過去に圭に何があったのか。

圭はうん、と小さく頷いた。