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Re: 秘密 ( No.417 )
日時: 2014/11/15 14:59
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

そういうと乱暴に自らの母の腕を振り払った。

「強くなったね…凛」

その人は愛おしそうにそう呟いた。

不思議な人だ。

あれだけ怖い笑顔を浮かべたのに。

まるで別人の様に優しい笑顔に変わった。

先程の笑顔。

それはまるで。

威嚇の様にも見えた。

「行くぞ」

「えっ…あっ、はい」

結局私は、その人の笑顔の真意に気付く前に。

その場を離れた。

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「待って…待ってください、凛!」

我ながら動揺している。

暫くは万里花の手を引いたまま歩いた。

少しでも遠くに離れるように。

ちっとも変わっていない。

なにを考えているか。

ちっともわからない。

立ち止り、振り返る。

万里花。

ずっと辛い想いをしていたのに。

強く生きていた万里花に惹かれたのだ。

どんな時だって傍にいて。

ずっと傷つけたというのに。

彼女は変わらぬ笑顔を向けてくれた。

今思えば気の迷い、としか言えないアリスへの片思い。

圭に対する当て付けだったのだろう。

勘違いではあるが、アリスに続いて万里花まで奪われた。

そう思っての逃走だった。

最初から。

決まっていたんだ。

万里花が好きだって。

でも、それに気付かなかった時。

アドバイスをこまめにくれた、万里花の心情は一体どんなものだっただろう。

辛かった、だけでは済まなかっただろう。

「傷、見せてみろ。」

だから。

これ以上傷つけないと、誓った。

散々傷付き、傷つけてきた。

そんな万里花を。

今度こそ守ると、誓ったのだ。