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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 秘密 ( No.421 )
- 日時: 2014/11/15 19:10
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
動けない。
凛の為に何かをしたい。
でも。
そうすることで凛を傷つける。
なら。
私は…
一体どうすればいいのだろう…
そんなことを思って。
立ちつくしていた。
少し暖かい。
夜風が。
鬱陶しい。
その風を。
不意に遮るものがあった。
「マリー」
目の前に。
立っていたのは。
「…アリス」
背が低く。
長い金髪を垂れ流していた。
アリスだった。
「冷えるよ」
季節外れの。
マフラーを首にそっと回した。
「これ…」
にかっ、と笑った。
「圭に作ろうとした奴…失敗しまくってようやく出来たんだ。もう、季節外れだけど」
アリスがクリスマスのちょっと前。
編み物の作り方を聞きに来た。
圭に内緒で。
作ってあげたいからって。
わざわざ頼みに来た。
マフラーの柄は。
女の子らしい雪の結晶。
ショールかマフラーか分からないほど。
薄くて。
軽く透けている。
凝っていることが分かる。
「…温かい」
でしょ、とアリスが笑った。
アリスは変わった。
出逢った時は。
無表情で。
「でも、まだまだだね。ほらっ。」
裾の方が毛糸が解れている。
引っ張り続ければ、解れつくしてしまう。
それに模様も綺麗に統率されている様に見えて。
かなりまばらだ。
「へへっ」
狙ってやったのか。
疑いたくなる笑顔だ。
失敗作のマフラー。
でも。
とっても温かい。
「…っ」
涙が。
溢れだす。
痛い。
とっても痛い。
凛の為に。
なにも出来ないことが。
凛の為に。
「…話、聞いて…くれませんか…?」
しゃくりをあげて。
上手く呂律が回らない。
けど。
ちゃんと。
伝わった。
小さく背伸びをして。
アリスの手が、頭にポンッとおかれた。
「勿論」
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