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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 秘密 ( No.459 )
- 日時: 2015/01/05 16:33
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
『別れよう』
その言葉に私は安堵するとともに、胸に鋭い痛みが走った。
圭とはもう。
話すことはできても。
触れることはできない。
キスすることも。
抱きしめることも。
出来ない。
「ありがとう…今までたくさん救ってくれて。好きになってくれて。私も。大好きだった。」
私は。
圭と一緒にいることに。
甘え過ぎていた。
私が本来あった強さを失って。
危険な目に合わせてまで。
やるべきことじゃなかった。
『最後に…会いに行ってもいい?』
「えっ…?」
『アリスの恋人として最後に。もう1回だけ会えないかな』
会いたい。
でも。
会ったらきっと。
みっともなく泣いてしまう。
「…良いよ」
泣き顔はもう。
絶対に見せない。
『今、そっちにいく』
後ろからグイッと肩を掴まれる。
向き合った顔は間違いなく圭だった。
そして、いきなり唇を押し付けた。
「…アリス」
もうこうやってキスすることも。
後ろから抱き締められることも。
もう二度とない。
「大好き」
こういうとこ。
こう言うところが嫌いだ。
人が諦めようっていうのに。
ズカズカ私の中に入ってくる。
私の中にまだ。
圭って言う存在が消えないんだ。
「…っ!私も…」
そうやって何時だって影をちらつかせて。
淡い期待を抱かせる。
首元にしがみ付く様に抱きついて。
そっと、唇を重ねた。
「大好きだった」
でもその期待を。
私は全力で振り払う。
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