コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 秘密 ( No.463 )
- 日時: 2015/01/11 21:44
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
「そんな…っ!そんなのって…!」
『じゃあ、君は言えるのかい?アリスに。テオドールを殺せって。』
「っ——!」
言えない。
言えるわけがない。
『それが一番手っ取り早い手段だよ。今までのアリスなら躊躇わずにその手段を選んだ。』
エリスは正しい。
でも。
本当にそれ以外に道はないのだろうか?
『それを躊躇わせるのは、君たちを想ってなんだ。』
自分の存在はアリスを弱くしていたのだろうか。
でも。
誰を傷つけても顔色一つ変えないことを。
強さだと言えるのだろううか?
『君たちの為に、人殺しと言う業を背負いたくない。
そんな業を背負った自分で。君たちと接して居たくないんだよ。』
そんなもの。
こっちだってアリスに背負わせたくない。
なにも。
なに1つ。
言い返せない。
それ以外に方法が見つからない。
こうするしかないんだ。
でも。
そんなこと。
アリスが一番したくないと思っているはずだ。
『私が言えることはここまで。』
アリスのこと。
なにも。
分かっていなかった。
アリスがどんな思いで。
どんな決意のもとで。
『アリスのこと、もうちょっと分かってやろうぜ』
どれだけの犠牲のもとで。
立っているのか。
『それと、私が今どこにいるか、分かる?』
えっ?
「えっと…車か?」
屋内の様でいて、多少騒がしい。
車の通りすぎる様な音がする。
『正解。空港に向かってる途中』
空港?
またアニエス関係の何かだろうか。
『私はそこそこ折り合いを付けてるからね。中々楽しくやっているよ。
自分の存在価値って言うのも、ここならよく分かるし。私はさながら義賊の様なもんだよ。』
言葉に不安が混じっていたのだろうか。
聞いてもいないのに、答えを先に答えた。
何か言いたいけど。
本人が望むことに口を出すことが出来ない。
「っで、エリスが今どこにいるのかが関係あるのか?」
『関係があるから聞いてんの』
関係…
アニエス関係の知り合い。
アレクシス
エリス
いや…
「アリス…」
『久々にお呼び出しが掛かったんだ。危害は加えられないだろうけど。』
訂正をしなかった。
つまりは、間違ってはいない。
『どうする?』
電話越しなのに試す様に笑っていることがなんとなく分かった。
答えなんて決まっている。
例えこの気持ちが錯覚でも。
今はまだ。
アリスを助けたいと願っている。
「迎えに行くに決まってる!」
未来のことは分からない。
けれど、今はまだ。
アリスに恋をしたままだ。