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Re: 秘密 ( No.467 )
日時: 2015/01/20 20:47
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

「好きだ!」

なにを話すか全く考えていなかった。

考えていたとしても、きっと頭が真っ白になっていただろう。

ただ、思っている言葉を口にした。

「ここにいろ!俺の傍にいろ!!何処にも行くな!何処にも行くな!!」

言葉の節節で強く抱きしめながら、何度も何度も繰り返す。

「圭…くるし…」

「助けたい、って言う思いがあったのは認める!
でも…それ以上にもっと抱きしめて、キスしたいって思うんだ!」

更に力を込めて、抱きしめてアリスの言葉を封じた。

「きっと初めは同情だった!
でも、今では…っ!心臓が壊れそうなくらい!どうしようもないくらい!!一緒にいたいんだ!!」

アリス。

細くて、力を込めたら折れそうなくらい危うい。

「…好きなんだ」

それでも。

アリスは強い。

人を変える力をもっている。

どんな時でも人を気遣ってしまう強さも。

その裏返しの弱さも。

髪も肌も。

全部。

支えていたいと思う。

離れがたいと思う。

どうしようもないくらい。

胸が痛くなって。

潰れそうなくらい痛くて。

傍にいればほっとする。

どうしようもない独占欲。

もう止められない。

歯止めが聞かない。

これから先もずっと。

アリスの手は僕だけのものだ。

アリスの隣は僕だけの居場所だ。

遠くに行くだけで、気が狂いそうになる。

もっと触れたい。

もっとそばにいたい。

一緒に生きて行きたい。

これを自分は。

恋、と名付けよう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「…私は何処にも行かない」

腕の中で苦しそうに答えた。

圭には実に驚かされっ放しだ。

「えっ!!?」

驚いたはずみで抱きしめていた腕が解けた。

やっと息が出来る。

「エリスを見送りに来ただけだ。ついでにアレクシスも。」

呆気を取られた顔をしていた。

分かりやすい。

そんなところにも、私は惹かれていたのだろう。

「大方エリスにからかわれたな」

エリスたちはもう見送った後だったから本人はいないが。

馬鹿だな。

大馬鹿の。

たわけ者だ。

けど…

どうして、こんなにも嬉しいのだろう。

ここまで必死に走ってきた圭を見て。

体が震えるほど。

嬉しいと思った。

「返事は…保留だ」

答えなんか出せない。

「アリスの事情は分かってる。少なくとも少しは。」

にかっと笑う。

そんな笑顔に。

私も口角が上がりそうになった。

「圭の気持ちは分かった…これは、私の気持ちの問題だ」

どうして、こう。

私が決めたことを。

決意したこと。

諦めようとしたこと。

それらを。

覆してしまいそうな強さが。

圭にはある。

「良いよ。これから、アリスが我慢できなくなるまで惚れさせるから。」

その言葉にボッと私の体温は上がった。

私の決意は。

そうそうに鈍りそうな予感がした。

「…馬鹿」