コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 秘密 ( No.479 )
日時: 2015/02/20 01:24
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

「っで、今回のパーティー、立案者はお前だろ。」

なんとなく手を離すタイミングを失ったので、いまだ繋ぎっぱなし。

流石に気まずいので話題を振った。

「遥に教えてもらったんだよ。それでケーキの好みを調べてサプライズを企画したんだ。」

「それで、ブレーカーか。」

彼女の横顔はとても楽しそうに笑っている。

「そう。こう言ったことを計画するのは好きなんだ、というより頭を使うのが好きなんだ。」

彼女曰く頭を使って凝ったことをするのが好きらしい。

「…今回は、人の為になるしな」

あっ

彼女は時々切なそうな顔をする。

どこか遠くを、眺めている。

何処を見ているか分からない。

今彼女は、なにを想っているだろうか。

「…今日は楽しかった。プレゼントは残念ながら準備する暇がなかった。だから、今度にしてくれ。」

「別に…わざわざいいよ。」

「だーめっ!プレゼント、なにが良い?」

なにも意図せず笑っている。

こっちがどんな気持ちになるか、考えてもらいたい。

人の前で悲しそうな顔をして、不用心に笑ったり、はしゃいだり。

「連には世話になっているからな。…何故だろう、連の隣はほっとする」

全く…

不用心にも程がある。

肩をガッと抱き寄せると、小さくて華奢な彼女はすっぽりと腕の中に治まった。

「…じっとして」

自分らしくない。

そんなことは十分わかっている。

けど、離れがたいと思ってしまう。

「…ちょっとだけ…このままでいて」

どれくらい抱きしめていただろう。

離れたのは、彼女の小さな声からだった。

「…連っ」

その声にハッと我に返った。

バッと解くと、頬を染めた彼女がいた。

「…」

暫くの間沈黙が流れた。

「ぷ、プレゼントの件だけど…とっとく、ってあり?」

やっと絞り出せたのはその言葉だった。

「…あり、で…良い」

頬を染めながら、そう答えた。

意外だった。

てっきり拒否されると思っていた。

「もう家、すぐそこだから…っ!もう…いいっ!」

頬が真っ赤だ。

耳まで真っ赤になっている。

「三田村」

先に歩きだす彼女の背中に声を掛ける。

謝罪をしなければ、と思ったのだ。

「…こよみでいい」

振り返らずに彼女はぼそりっ、と答えた。

「…こ、よみ」

なんて言おうと思っていたのだろう。

けれど、口は思わぬ言葉を口にした。

「…好きだ」