コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 秘密 ( No.483 )
日時: 2016/05/07 00:36
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

「圭」

この気持ちに名前を付けたのは、何時だっただろう。

最初は何ともなかった。

でも、抱きしめられその言葉を聞く度に。

彼の傍にいたい、と願った。

そして無自覚に自分の未来を描いていた。

それが楽しく、嬉しかった分。

私の心は締め付けられていった。

「…話があるんだ。」

「なに?」

「内緒。心の準備ができたら、ちゃんと話すから。」

もっとそばにいたい。

そう想ってしまった。

彼の隣でこの先も笑っていたい。

残された時間が短いのなら、その時間をずっと笑っていたい。

私は卑怯で、汚い。

強欲で人の想いなど簡単に踏みにじる。

「…待っていてくれるか?」

自分の為なら。

自分の欲の為に、私はまた誰かを傷つける。

振りほどいたはずの手を、私は諦めきれずにいる。

だから、私は求める。

強欲に人間らしく。

振りほどいたはずのその手を。

どんな手段をもってしても。

いけないと分かっていても。

葛藤しながら、求めてしまうのだろうな。

「待たないよ」

…少し驚いた。

けれど確かに都合が良すぎる話ではあった。

「その前に、惚れさせるから。1ヶ月もいらない。」

クスッ、と小さな笑い声が私の口から洩れた。

温かい気持ち。

私はきっと今、微笑んでいるのだろう。

「…敵わないな、圭には。」