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Re: 秘密 ( No.491 )
日時: 2015/03/26 15:23
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

「…マリーは一途だね。」

「私は凛だけを見てきました。」

私も、圭だけを見てきた。

でも、それと同時に彼といる未来を描いた。

「その気持ちを、恩人のものだと錯覚しなかったか?」

その未来には、私はいなかった。

私がいる未来を、どうしても思い描けなかった。

「…少し、しましたね。でもやっぱり凛が好きなんです。」

「…強いな」

私はそんな風にきっぱりと言い切れない。

「強いのは、アリスですよ。」

…私が?

「私は人を愛せなかった。今でこそ凛を想い、慕っています。
でも、昔は全然そんなことはなかった。私は母の様に狂ってやまない恋が怖かった。」

マリーの母は、想い人が出来て家を捨てた。

最も、家を出てすぐに別れたらしい。

それを知ったのはつい最近だが。

「でも、アリスを見ていたら。ただ一途に圭を想い続ける、アリスを見ていたから。」

意外な話だ。

やはり憶測だけで、世界は分からない。

「…私?」

「アリスは私よりも大きいものを背負っている。それでも、圭を想っていた。
叶わなくても。隣にいられなくても。その想いを諦めようとしても。
捨てようとしても。それは全部圭の為。結局は圭を想っている。」

「それは…」

私には圭しかいなかったから。

圭が救ってくれた。

きっと恩人的な意味合いだってあった。

「マリーだってそうだろ。」

「…ありがとう」

私は誰かを想うのが初めてだから。

想い続けていたい、と思ったから。