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Re: 秘密 ( No.511 )
日時: 2015/04/14 19:28
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

彼らは弱い。

私も弱い。

でも、互いに支え合って強くあろうとしている。

圭は私を変えたの。

私は皆のいろんな顔を見たい。

帰り道、彼らはいつだって笑顔だ。

私のことを心配してくれるのも嬉しい。

でも、彼らを笑顔で縛りつけたくない。

私が望むのは、圭達が幸せでいること。

・・・待ってて。何時か僕がアリスを闇から救うから。
待ってて。いつかアリスを助けるから。だからそれまで…待ってて・・・

そんな、昔の言葉が甦った。

違うよ、圭。

私は救いなんて求めていない。

例え、父がいなくなっても。

私はあの国から離れる訳にはいかない。

今、闇に沈んでいるのは。

————圭の方だ。

優しさ以外を決して見せない。

互いを信じる。

それは今の私にもできない高尚なこと。

圭と離れて、気付いた。

彼が私の傍にいるのは、昔の約束を守るためなのではないか?

振り返っても、誰もいない。

違和感の正体は、圭だった。

圭の強さに魅せられ、惹かれ、依存した。

そして、私も何時しか強くなった。

今はまだ無理だけど、何時かは圭を追い越すくらいに。

強くなってしまうのだろうか。

圭は私を気遣って、ろくに涙を流さなくなった。

自らの母の死に対しても、私の為に。

私の為に、色んなものを失った。

涙を流さず、自ら危険に飛び込む。

彼は私と違って人間なのに。

ちゃんとした、人間なのに。

私の為、といって全てを投げ打とうとしている。

そうして私を不安にさせない様に、笑って過ごしている。

笑うことを強いられている。

私との約束を守ろうとして、闇に引きずり込まれている。

何時かは、人間ではなくなってしまうんじゃないかって。

思うくらいに。

そんなこと、絶対にさせない。

時々、自分のしたいことが分からなくなる。

大きな力に引きずりこまれ、呑みこまれそうになる。

だがな、お前はそっちには行かせない。

私に出来ることはない。

私が触れれば触れるほど、また気丈に振る舞おうとする。

振る舞って、気付かぬ間に人間味を捨てていく。

不安にさせまいと。

涙を流さなくなって、その次は何を捨てる?

彼の悪い癖。

笑顔以外、見せない所。

人の為に、なんでも捨てられる所。

なんでも捨てて、それでも救った後の関係を心地いいと思ってしまう所。

その関係を保つためなら、どんな無茶でも仕出かす所。

必死になって誰かを救おうとする。

まるで、そうすることで誰かに許しを乞う様な。

そうしなければ、息をしていられない様な。

そんな危うさがある。

私は一旦手を引く。

当事者である私には手が出せない。

出せばまた、傷を隠すから。

だから、残りはもう1人のアリスに託すとしよう。

彼女なら、私とは違う切り口で圭を救えるはずだから。