コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 秘密 ( No.543 )
- 日時: 2015/11/19 17:45
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
アリスを救いたい、救わないと。
そんな小さな世界に圭を閉じ込めるのは、あまりにも勿体ない。
圭は強くて、カッコ良くて、忍耐力もあって。
悲しいことが合っても、人の為に笑う様な性格で。
損な性格をしているのに、それを恥じずに貫いている。
それが凄く心配だけど、なによりの武器でもある。
誰にも平等に、分け隔てなく接することが出来て。
何より、優しくて温かい。
誰よりも素敵な人。
だから。
私を守ることだけを誇りにしないで。
圭は世界の広さや希望を見せたいと言ってくれた。
圭も、もっと広い世界を見て。
私がアニエスのことを向き合った様に。
圭も、自分の未来と向き合って。
このままじゃいけない。
一生圭の手を握っていたかった。
その気になれば、きっとそれは実現できたかもしれない。
けれど、そうすることは圭の為にはならないと気付いたのだ。
圭と一緒にいる喜びよりも、圭に輝かしい未来を与えたい。
私がいることに安堵し、自分の力で歩きだすことを拒絶してしまう。
私といることで、彼の未来を閉ざす。
それに気付いてしまった。
圭の涙を拭っているだけでは、圭は弱くなる。
大丈夫。
「もう、沢山の希望を見せてくれた。」
圭のことを、きっと私はまだ好きだ。
やっぱり愛おしい。
「私は私のところでやることを見つけた。圭も、圭の場所で頑張って。」
もう弱くない。
圭のことを思えば、傍にいられなくても強くいられる。
私は圭のことが好き。大好き。
でも、圭は違う。
圭は、私の強くて綺麗な所ばかり見ている。
「圭は、私の意思を尊重してくれる。私の為に色々なことをしてくれる。
でも、自分の為には何もしない。それが私は嫌。」
目の前に映っている圭の世界が、私だけみたい。
以前の私ならそれを、微笑ましく嬉しくすら感じただろう。
もう、何処にも行かないと喜んでいたかもしれない。
私はもう1人で歩ける。
その強さを、くれたのは圭。
圭の両頬に手を添えて、目を真っ直ぐと見据える。
「圭、もっと私を見て。私はもう弱くない。強い。
それに、私の美しい所だけを見ないで。勝手に美化しないで。醜い所も見て。」
しっかりと私を見て。
圭に見せる面だけで判断しないで。
「それを受け入れて。そうなって初めて圭は私を好きになってるんだよ。」
綺麗な所だけ見て、好きなんて都合が良すぎる。
私が抱える問題を、もっと見て。
「それを踏まえて自分の為に何か行動をして。
それが、圭の好きの証になるはずだから。今の圭はそうじゃない。」
ぱっ、と手を離す。
「私達は、付きあうのに早計過ぎた。」
強い自分も、醜い自分も、見せて来なかった私も。
やっぱりどこか幼かったのだろう。
圭が離れていくことに、怯えていた。
「自分の気持ちと向き合って。ちゃんと相手をよく見て。そして自分の為に行動して。」
醜い部分を見せて、圭が離れて行っても。
私は、圭を好きになれて良かったと笑いたい。
思い出をくれてありがとう、と。
圭は私を救ってくれたのに、救えなくてごめんねと。
「私は私の場所で頑張れることを見つけた。圭も、自分の場所でやりたいことをやって。」
そう言う恋をしたんだ。
だからこそ、多少辛辣なことを言ってでも。
圭を変えたいと願うの。
「…だから、今の圭は…あんまり好きじゃない。」