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Re: 秘密 ( No.551 )
日時: 2015/11/08 18:47
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

「ここにいるのは、孤児だ。規定年齢を越すと、兵士になる準備をする。」

アリアの頭をなでると、圭たちに向き合う。

子どもたちはその場にいるが、構わず話す。

幼くてまだ分からない、と言う意味ではない。

隠しても仕方がないのだ。

アリア達には、幸せと一緒に残酷な世界も見せていかなければいけない。

残酷なんだよ。

そう言う世界にいるんだよ、と幼いうちから伝えておきたい。

「銃を持ち、ナイフを手にする。人の裏側を知る術を知り、人を騙すことを覚える。」

辛く、残酷なものである。

だからこそ、光を見つけた時、その希望から手を離してはいけない。

絶対に諦めてはいけない。

「…私は暗闇の中で、光を放ち導きたい。」

何処までも暗く、底がない世界でも。

少しでもその闇を淡くする努力は辞めたくない。

「だから私はここで、王になって少しでもこの国をよくしたいんだ。」

そうやって、少しでも…

「父の…意思を継ぎたいんだ。」

誰よりもこの国を愛していた父。

憎まれても、虐げられても、傷つけられても。

身を斬る様な痛みを伴いながら、犠牲を払い…僅かにアニエスに光を灯した。

周りに理解されずとも、それでも豊かな国を作りあげた。

父を許すことはできない。

今でも、憎い。

私にとっての母も、同じくらい大事だったから。

圭たちと引き離されて、涙にくれた日もあった。

けど…だからこそ、私は強くなれた。

圭たちだけの世界から、出ることが出来た。

「…だから、私は涼風には帰らない。ここで、私のすべきことをする。」

進路とか全然決まってない。

自分から何かしたい、何かになりたい、なんて思ったことなかった。

私が初めてなりたい、と思った。

父の様に。

憎まれても、人を愛せる様な人になりたい。

心の底から蔑まれても、誰かの為に泥をかぶれる人。

不思議。

私も父のことを憎んでいるのに、父の様になりたい。

「大好きだよ、マリー、リン、圭」

名前を呼ぶ度、愛しさがこみあげてくる。

胸が温かな気持ちで包まれる。

「自分の道を歩こう。」