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Re: 秘密 ( No.579 )
日時: 2016/02/29 23:45
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

リボンで束ねられた百合を抱え、唇の感触と笑顔を反芻する。

彼らとは真逆の、来た道を引き返す。

これで、もう心配はいらない。

私は大人しく城に戻り、もう彼らに会わない。

それでいい。

抱えきれないほどの幸せを貰った。

彼らがくれた贈り物が、これから先も私を励ましてくれる。

私が“アイリス”であったことを証明し続けてくれる。

幸福な時間があったことを、思い出させてくれる。

だから、もう良い。

今までの日のこと。

私が忘れない限り、何時までも美しいまま心にとどめておける。

彼らには彼らの人生を歩んでほしい。

彼らはもう、自由だ。

そんなことを少しでも思ったのが、間違いだった。