コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 秘密 ( No.583 )
日時: 2016/10/14 23:53
名前: 雪 (ID: Id9gihKa)

「いつか…他に人を好きになることがあるかもしれない。こんな私を受け入れてくれる人がいるかもしれない。
でも、今はまだアイザックのことを想っていたいの。あいつの笑顔を胸に留めておきたいの。」

いつか。

私もそんなことを断言できる日が来るだろうか。

マリーやリン、圭と会えなくなっても。

二度と会えないことに耐え、笑って行けるだろうか。

「例え傷付いても、一緒にいられることを選べたら良かったのに。
それが私の後悔。こちら側の世界で生きていけば、傷つけたり傷つけられることが合っても。
ずっと一緒に生きることが出来たかもしれない、今ならそう思うの。」

ようやく。

エリスの伝えたいことが分かった。

「私は今、誰よりも幸せだと思っている。それは揺るがない。
でも、あいつ等の傍にいる以上の幸せではないの。欲張りかもしれないけど。
ただの未練かもしれないけど。アイリスでいた時間が、私にとっての幸せの全て。」

エリスが彼らを失って、どれだけ苦しんでいたか。

私は覚えている。

どれだけ幸せだったのかも。

「遠く離れているだけなら、まだ幸せ。」

それでも、エリスは笑って。

例え作り笑いでも常に笑顔を浮かべている。

彼女が心から笑える日が、何時か来ると良いな。

今は無理でも。

何時か。

もう一度。

アイリスと言う名前を、名乗れる様になる日を。

幸せの証である名前を。

「でも、いなくなるのは駄目。そんなに苦しいことはないの。」

そんな相手に会えれば。

次は、エリスという名前も好きになってほしい。

争いと不和の神から取った名前じゃない。

アニエスの為に尽力した、1人の優しい女の子の名前を。

アニエスのことも、ひっくるめて。

真実を話せる相手に。

出会えるといい。

「あの時、私は一生分の幸せと一緒に…一生分の哀しみも貰ったの」

何時もは強気なエリスの笑顔が。

その時は酷く儚げに映った。