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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 秘密 ( No.631 )
- 日時: 2016/11/03 19:00
- 名前: 雪 (ID: Id9gihKa)
彼らは初め、私と距離をとっていたけれど。
昔私を変えてくれたように、また私を変えてくれるのではないかと。
そう言う思いが私を突き動かし、彼らは私の元に留まってくれた。
エリスの言っていたことは本当なんだって、身に沁みるほど実感した。
彼らはあまりにも私に優しくて。
私の中に変化をもたらしてくれた。
私は彼らのことを覚えていないことを、気付かれない様に尽力した。
もっともそんなことは無理な話なので、彼らは薄々気付いていたらしいけれど。
彼らはそれでも自分たちのせいで私の記憶が欠落したと、気にしていたけれど。
それからたくさんのことが合った。
アニエスにだって何度も連れ戻されたし、アニエスからも何人も来た。
想いを伝えて、伝えられたりもしたし。
彼らの家族に会って、たくさんの愛の形を見て。
彼の手を取ったり、離したり、迷ってばかりだった。
けれど…どんな時も身につけていたイヤリングを彼に返した時。
私は彼を切り捨てたのだ。
彼の根本にある私への想いは、幼い子供の頃の気持ち。
私は覚えてなんかいないんだよ。
私はずっと彼らを騙してきた。
好きとか言われても…もう、喜べない。
「馬鹿だなぁ…」
馬鹿なのは彼だろうか。
それとも…
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