コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

2 ( No.5 )
日時: 2013/11/01 21:30
名前: 宮柳 ◆4xAbSiUJOg (ID: qNIh9ax1)



「……お話しませんかって」

 小さな声でボソッと呟いた。この二十一世紀にこんなアナログな事があるのか。今やLINEやTwitter等という便利なものがあるというのに。
 字はイマドキの女子が書く様な丸文字ではないが、男女どちら共に取れる字体な為性別は判断出来なかった。勿論何年生なのかも。
 多少の胡散臭さを感じていたが、授業が退屈なのもあり、面白そうという理由で持ってきていた自分のルーズリーフを千切り、『良いですよ』と一言だけ書いて机の中へ入れた。
 まぁ、どうせこの教室の掃除当番が掃除をするから捨てるだろう、と思いながら。

「——であるから、ここにX=√6の3乗を代入して」

 いつの間にか問五の解説をしていた。慌てて黒板に書いてある意味不明な記号と数字の羅列を書き写す。
 周りを見ると既に机に突っ伏して寝ている生徒が何人も居た。その様子を見ていると眠気が一気に襲ってきた。
 答えを汚い字で素早く写すと、いかにも勉強しているかの様な寝方で眠りに就いた。

 それが私、井ノ田ちよの人生を変える出来事のほんの小さな始まりだった。