コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 魔女のフライパン −闇を救う魔女 参照200になれ〜。。 ( No.78 )
- 日時: 2013/12/06 15:41
- 名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)
第十五話 【冥】
toムリンカ
冥界には 魔妖精が住んでいる。
魔界に住んでいるような 魔妖精じゃなくて
ふわふわと浮いた 不思議世界の魔妖精
紫の羽をしていて 黒の末裔を持っている。
その末裔こそが 魔師
今や 先祖である魔妖精と違う界で過ごし 違う域をまとい そして魔師は進歩していく
ついには 魔師は 冥界に入ることすら 難しくなった。
その空気が 自分に合わないからだ。
でも 好んで暮らす魔師も居るし 長旅をいやすものもいる
——
ついに当日がやってきた。今日は 魔界にとってあいにくの天気である快晴だが。
「うるさい。静かにしろ。お前わかってんのか。俺たちは ただの雑用係なんだ」
と、ナナキの不満そうな顔は 魔界にとって良い天気である。
「それじゃあ 出発する」
とセイヤの声に押され、全員が、そばにある 飛降所まで走る。
飛降所の近くまで来ると、セイヤ、あたし、ラナ、キーチ、ナナキ、メイアの順だ。
セイヤが、冥界ワープ扉まで行く地図を渡され、このチームの隊長に任命されたから。
というのも、昨日、荷物を届けに来たときに 隊長の話をしていたレノンとミホ様に 隊長なら セイヤが良い。と、あたしとラナで言ったからだと思われる。
メイアは、一番魔力の強いため、後ろで、副隊長!みたいに待機中
その順番のまま ヒュッっと フライパンに飛び乗る。
セイヤの得意である 風の力を使って、地図の位置を魔法陣で特定する。
これは セイヤと同じく「ウィンドソウル」(風剣)の力である、キーチにもできるであろうが、キーチは、隊長になってほしい。というお願いを 断固否定したためである。
キーチという人柄なんだし、セイヤともうまくやって 隊長できそうな性格なのだけど———…
それはさておき 広い快晴の空を渡りつつセイヤが急に叫んだ
「みんな この後、洞窟をくぐるんだけど くぐった先から見えるオーロラがきれいなんだ。あの道は狭いから、二人ずつ入るぞ〜!」
といつものセイヤにもどり 叫んだ
「OK!」
と後ろからすぐにキーチの返事
「りょーかい!」
と笑うあたしに、
「分かったぁ〜」
とラナが
「分かった」
とメイアがうなずくと、ナナキも頷く
「じゃ、ムリンカ 行くぞ」
あたしは セイヤの後ろについていく
「うん」
ラナとキーチも後ろからついてくる
メイアとナナキも。
暗い洞窟の先、ピンク色の光が見えてくる。
その光は 黄色へ 蒼へ 紫へと紡いでいく
そしてその光の先に いま、あたしとセイヤが飛んでく。
「わぁ——っ!」
洞窟をくぐりぬけると オーロラが光輝いていた
「ほら、ムリンカ あそこに見えるのが、冥界ワープ扉、ラズメイだと思う」
あたしも そちらへ目を向ける
「くぐりぬけようぜ!」
とあたしの手をとって ずるずるとフライパンで飛んでいく
すぐ後ろに ラナとキーチ、ナナキとメイアも見られる。すぐに来るだろう。
むにょ〜ん
と、ふしぎな感覚がして、長い長い 眠りに落ちるような そんな気がして…
「なあ このオーロラって冥界術式、 「冥術!ラズデ・リアナ」の場所じゃないか。このオーロラは 男女二人でくぐると、恋に落ちるらしい」
と後ろで ナナキの声がした
遠い遠い声がした
——
- Re: 魔女のフライパン −闇を救う魔女ー 参照200超えました ( No.79 )
- 日時: 2013/12/07 09:35
- 名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)
toムリンカ
「うっ・・・・」
ちょっとした苦しさに目を開ける。
まわりは、高い建物だらけで 青い空は、通勤中のサラリーマンや 通学中の学生でにぎわうことも無く 柔らかな表情を見せている…
(ここは、どこ?…)
起きると、セイヤがすぐそばに居たから 起こす
「セイヤ〜。起きろ〜!!」
バンバン肩を叩くと…セイヤが眠そうに目を開けた
「うへっ。なんだよ。ムリンカか…」
とまた寝ようとするので
「ダメだってばセイヤ!ここなんかおかしいよ!」
「はぁ?」
とセイヤは飛び起きる。
そばには あたしたち以外誰もいない
「おれたち・・・冥界に、来たのか?」
とセイヤがボヤく
『ラナ〜!キーチ!メイアー!!ナナキっ!』
ひたすら みんなの名前を呼び続けるけど——…現れない。
「ただ、ちょっと この場所は空気がキツイな……」
セイヤが ごほっと咳込む。
「…此処って…。冥界じゃないよねえ?!」
そばには よくわからない字で 書いてある看板の向こう、人間のお母さんお父さんと子どもが手をつないでる。
丸いコンクリートの物体から 水がクジラのように噴出している。
ふらふらとしたちいさな板の上に子どもが座り、鎖を手で持ち、自分で助走をつけてこぐすがた。
走りまくった挙句「たっち〜」と喜んでいるたくさんの子供たち・・・。
「メリークリスマスっ!」
と、赤い帽子に赤い服で身を包んだ 白いおひげのオジサンが、おもちゃやの前で、メリークリスマスと叫んでいる
「此処は…人間界だよ!!」
あたしの叫びが木霊するに連れて 真っ青になって セイヤとあたしは顔を見合わせる
「どうしよう!!」
すると耳元から回線がやってきた
≪わたし、ラナ…ムリン、居る?≫
「え?!」
≪それが、通信用の電子機器を、知らない間に レノン様にはめ込まれていたみたいなの。わたしは ラナ、だよ。キーチも一緒にいるの≫
「な〜んだ!こっちは あたし、ムリンカとセイヤだけなんだ。しかも ここは人間界っぽいし…汗汗」
≪ええっ!!こっちは…。こっちは冥界みたい。ちょっと待ってね。メイアたちに連絡とるから≫
と慌ただしいラナの声がして通信が切れる
「ラナとキーチは 冥界に居るって。」
とあたしが言う。」
「ふ〜ん。」
というとセイヤが、そばにあった小石を足で蹴っ飛ばした
≪メイアとキーチとは 会えたよ。同じく冥界に居たみたい…ムリンカちゃんたちは どうしてだろう?というかどうして知らぬ間にワープしたんだろうね≫
と 疑問を浮かべるが、推測の域を出ない
「ムリンカ 行くぞ」
セイヤに連れられて人間界を歩く。
「俺らは のんびり遊んでれば良いってことなんだよ。」
と ヤケクソに言うので
「違うってば だって オーバー精魔法能力を使ってほしいって あたしたちが言われたじゃない」
あたしが言うと、セイヤが
「もしかしたら・・・。よし ムリンカ。今日から、此処で 冥界と同じスケジュールで 牢屋を探すような感じでやればよいんだ」
「え…?でもさ、牢屋は冥界に…」
「そんなこともないぜ。」
と セイヤは歩き出す
あたしも 後ろから追いかける
———その時…
どんっ!
「きゃっ!」
横から黒い影に 押されて倒れ込む。
ここでコンクリートに頭うったらおしまい…
「危ない!!」
セイヤの声がして 横抱きに絡め取られる
そのまま コンクリートに二人で転がる
「ちっ…。」
ぶつかってきたそいつは バツが悪そうに頭をかいた
「何やってるのよ。」
ともう一人の女の子が後ろからかけてくる
『レン!コレット!!』
あたしとセイヤは同時に後ずさりながら叫んだ。
- Re: 魔女のフライパン −闇を救う魔女ー 参照200超えました ( No.80 )
- 日時: 2013/12/07 12:40
- 名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)
toムリンカ
その姿こそは 紛れもなく レンとコレットの二人だった
「どうしてここに…」
しかも、二人は、服装までが人間っぽくなってしまっている。
いつもの黒と白の魔師服ではない。
色とりどりで、カッコよく決めている。
「…いや、なんでもない」
と逃げようとするレンに
「逃げるな!!」
とセイヤが睨む
「レン、もう無理っぽいよ。」
とコレットがいつになく甘い声で言う。
「ムリンカ。これから ボクたちの故郷に行こう。このことについては、魔界城6号のミホ様ルカ様が承諾してくださっている。もちろん、魔界城1号の魔王様もだ。」
とレンが手を差し伸べる
あたしが反発しようとしたとき セイヤが先に口を開いた
「おまえらっ!しつこいぞ!! 一体ムリンカのなんなんだよ」
バンッ!
レンが差しのべた手を セイヤがぶっ叩く
「じゃあ 君こそ。ムリンカのなんなの?」
レンが笑いながら言う
「俺は、ムリンカの幼馴染だよっ!!」
(…幼馴染……)
「嘘つけっ!!」
コレットが 嘲笑う
「だから ミホさまルカ様が承諾してくださっているんだ。ほらボクらの故郷へ…」
レンが また手を差し伸べる
「嫌だっ!何が承諾してくださっている。よ!レノン様が承諾してないもんねぇ〜だ!」
故郷 という言葉が気になった。けれど、あたし自身は、このふたりにはついて行かない
と、身体だけがそう決めていて 心は表向きにできなかった。
「ということで。俺らは行く!!。じゃあ」
と、真っ赤になってセイヤが勢いよく言い切ると あたしの手を掴んで、一目散にかけていく
「ふうん。素直じゃないわねえ」
甘えた声で 残されたコレットが言った
「……お仕置き しなくちゃね」
と、冷笑を浮かべて レンが言った
———
「せ、セイヤ…待って。もう息が持たない」
ほんとにちょっとしか走っていないのに 息が持たない
あたしたち 魔界の人間は 人間界の空気が苦手だし、魔界であった体力も人間界になると少し削られちゃうし
「…そうだな 此処までこれば大丈夫か」
フライパンで飛びたかったけど そうもいかないし。
だって この大きな、渋滞とかなにもない空で飛びたいじゃない。
って考えたらこの人間界は 地上が混みこみ。
「で、あいつ おまえの故郷がなんちゃらって言ってたけど何なんだろうな。でも 人間界に居ちゃあどうしようもねーし」
と 髪をぐしゃっとやった。
「……どこか 静かなところに行こう。この前 写真で見たんだ 「ウミ」ってとこ。」