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Re: 【イラスト有】照れくさいのです。 ※半実話【参照300感謝】 ( No.37 )
日時: 2014/01/04 14:27
名前: Alice (ID: 6SeEpuIV)

*Episode*five 〜吉森 梓side〜


栞の家を出ようと、靴を履いている時、鞄からバイブの音が響いた。
私はスマホを取り出す。
メールが一件届いていた。
『メール 一件』という吹き出しをタップする。
そのメールの送り主の名前を見ると、無意識に口角が上がった。

『今日は祭りー!
 梓ちゃんは行く?』

添え付けられたURLをタップすると、出店がズラリと並んだ写真がスマホの画面に映った。
何故か自然と笑ってしまった私。
気付くと両肩から二つの人影が覗かれていた。

「え、この人誰??」

二人の野次馬が微笑みながら言った。
咄嗟にスマホを隠す。

「な、何でもない」

そう言うと、栞と咲良は顔を見合わせニヤッと笑った。
その瞬間、凄い嫌な予感が私の思考を覆い尽くした。

「見せろー!」

二人は私のスマホを取ろうと私に覆い被さってきた。

「ちょ、まっ......!!」

力尽くで取ろうとしてくる二人。
スマホを持つ手を左右上下に色々と動かし、取られないようにするが、
栞に絶妙なタイミングを掴まれスマホを取られた。

「取ったどー!!」

栞は直ぐに私のメール内容を見た。
咲良も立ち上がってニヤニヤしながらスマホの画面をガン見している。
普通にプライバシーを侵害されたんですけど。

「え......この人って天堀の幼馴染じゃなかったっけ?」

栞が名前を見たらしく、ボソッと呟いた。
それを見た咲良は首を傾げた。
私はもう思い切って白状してみる事にする。

「......そうだよ。将太の幼馴染の仁君。山岡仁(ヤマオカ ジン)君」

そう言うと、栞は私に真っ直ぐな目をして直球な質問をした。

「さっき山岡さんとメールしてた時ちょっと笑ってましたけど......?
 もしかして梓、好きなの?」

栞がそう言うと、何故か咲良が拍手をし始めた。
自分の顔が熱くなるのが分かる。

あーもう、ヤケクソだ。

「好きだよ!!高校三年生の仁君が好きだよ!!!!!」

思わず叫ぶ。
二人に大分ノロケられてるし、もういいや。というのが本心だった。
目前にはニッコリしている栞と咲良。

「そっか〜、そっかそっか。
 梓と仲良くなって早2年だけど、梓の恋愛事情なんて聞いたことなかったから何か新鮮だわ」

何だその母親みたいな発言。
両思いなわけでもないのに。
というか、付き合おうとも思った事無い。

「え、でも1歳年上でしょ?
 どうやって知り合ったの?」

咲良はしゃがみこんで私に聞いた。

「バイトだよ」

そう答えると咲良はニッコリとして何度も頷いた。

「えっ!!!山岡さんイケメン!!!」

栞の口から五月蝿い声が聞こえてきた。
......どうやら仁君の写メを見たらしい。
すると、メールを受信した音が鳴る。

「ちょ、ちょ、見して!」

私が栞の手からスマホを取り上げる。
『メール 一件』という吹き出しをタップする。
仁君からのメールだった。

『俺は高校の友達と行きます!』

またURLが添え付けられてあった。
タップすると、仁君とその他男子が数人並び、ピースをしている写メがスマホの画面に映った。

......なんだ、女子が居るじゃん。

男子が四人、女子が三人映っている。
もしかしたらこの中に彼女がいるのかもしれない。
そう思えば思うほど、胸が締め付けられるように痛くなる。

本当は仁君とお祭りに行きたかったんだけどな。