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Re: 善良な悪の組織の一員 ( No.11 )
日時: 2013/11/27 19:09
名前: 夕陽 (ID: /FjcvMMi)

三話 あやめ、里奈と出かける!

「あやめ、一緒に出かけない?」
 と里奈が言ったのはゴールデンウィークの初日の事だった。
「何で急に? 別に明日でも——」
「今日じゃなきゃだめっ!」
 最近やっと正義の味方勧誘もなくなってきて肩の荷がおりた気がしたのに……でも、それに関することではないのかもしれない。とあやめは思った。なぜなら里奈は学校で友達が出来たらしく、誰かと電話しているのも見たからだ。だから友達と一緒に行く場所を探すのかもしれない。あやめは一人納得して
「いいけど。いつから行く?」
「今から……といいたいところだけどお昼ごはん食べてから、一時にここ出るよっ」

 一時ごろ、里奈が言ったように支度を終えたあやめと里奈は綾菜に
「いってきます」
 と告げ、出かける事になった。でもあやめはまだどこに行くか知らない。なので
「ねぇ、どこにいくの?」
 と聞いた。それに対して里奈は、
「さあ? どこに行くと思う?」
 と逆に聞き返された。あやめは考えていたが
「うーん、遊園地とか?」
 それを聞いた里奈は何も言わずに先に歩いてしまった。そんな里奈を追いかけるようにあやめは後についていった。

 着いたところは、あやめの予想どうり遊園地だった。あやめが入場料を二人分払おうとすると、里奈は
「私の分は自分で払うから」
 といって本当に払ってしまった。里奈は来たとき、何も持たずにそのまま居ついたのでお金はもちろん、服や歯ブラシなども持っていないはずだった。あやめは疑問に思ったが入場券を係員から渡されたのでそれを持って遊園地に入った。
 遊園地に入るとゴールデンウィークのはずなのに、お客さんが百人にも満たないような感じだった。この遊園地、大丈夫なのだろうか?
 そんな心配をしているうちに、里奈はこっちこっちと遊園地の中を駆けていく。あやめはそれに追いつくのに精一杯で目的地がどこかを考える余裕はなかった。
 里奈が走るのをやめた。あやめはやっとついたかと思いほっとしたが、そこにはなんのアトラクションもない。かわりに誰か立っている。その人影がだんだんこちらに歩いてくる。
「なずな……?」
 里奈がポツリとつぶやいた。その子は、お嬢様っぽい上品なオーラを放っている。そして口調もそんな雰囲気にあったものだった。
「あら、里奈じゃない! お久しぶりです。会うのは何年ぶりでしたっけ?」
「やっぱり、なずな? 会いたかったよっ」
 どうやらこの二人は友達のようだ。でもこんな子、学校にいたっけ?あやめの思いを読み取ったようになずなは言った。
「あなたがあやめさん? 私は秋山なずなです。よろしくお願いしますね」
「は、はい。私は天野あやめです。こちらこそよろしくお願いします」
「そういえば、あやめになずなのこといってなかったっけ?じゃあ、せっかくだし紹介するよ?近くにカフェがあったからそこでね」
 そういって里奈は地図をみつつ、カフェの場所へと歩き出した。