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Re: 悪の組織の一員は正義の味方にスカウトされました ( No.15 )
日時: 2013/12/03 18:17
名前: 夕陽 (ID: fZcYVzvT)

六話 あやめ、里奈となずなに昔の事を話す!2

 お父さんの後を追うと、突然古びたビルに入った。どうやらここが会社のようだ。会社名らしきものはなく、ごく普通の3階建ての建物だ。
 しかし、もしかしたら普通の会社に思わせて悪い会社なのかも……。
 そう思うといてもたってもいられなくなるが中に入るとばれるのでビルとビルの隙間に身を隠した。
 数分後、お父さんはもう一人の男の人と一緒にどこかにいった。きっと仕事だろう。服装が仕事着だったから。やっぱり普通の仕事だ。よかった、やっぱもう帰ろう。
 と思ったとき、後ろから
「おまえ、何しに来た」
 という声が聞こえてきた。振り向くと、二人の男がいた。
 一人は、大柄で顔も怖い。
 もう一人は、小柄で人のよさそうな笑みを浮かべているがなぜか怖いと感じる。
「ボス、この子どうします?」
 小柄な方がボスとよばれた大柄な方に聞いた。
「おまえ、名前はなんていう?」
 ボスと呼ばれた男が急に聞いてきた。
「な、なんであなた達なんかに名前を教えなくてはいけないの? 大体名前を聞くときには自分から名乗るって親に習わなかったの!?」
 そういうと、ボスは急に笑い出した。
「フッフッ。おもしろい奴だな。俺は、ボス。こいつはライ。俺に親は、いなかったよ。ライもな」
 どちらも本当の名前ではないだろう。と、怒りそうになったが、次の言葉にひるんでしまった。なので、正直に
「あやめ。天野あやめ」
「天野? やっぱりルイの子供か」
「私のお母さんのこと知っているの?」
「ああ。あいつも俺らと一緒に孤児院にいたからな」
 知らなかった。お母さんのほうの親に会いに行きたいといった時、だめだよといった訳が。いなかったからなんだ。
 ならお父さんと関わりがないかもな。そう思い別れようとしたとき、
「アヤメ、お前もしかしてお父さんをつけてきたのか?」
 いきなり言われたので動きが止まってしまった。
「図星か。やっぱりお父さんの仕事が知りたいんだろ?」
 反射的にうなずいてた。畳み掛けるようにボスは言う。
「じゃあ、教えてあげよう。ビルまで来てくれるとありがたいんだが」
「それは無理です。知らない人にはついていかないようにと親に言われているので」
「たしかにな。どうすればいいと思う? ライ」
「僕的にはルイさんのところに電話して許可とればいいかと」
「おお、お前頭いいな。それでいいか、アヤメ」
「まあ。でも私にも話させて」
 それに対しボスは頷くとスマホを取り出して電話をかけた。
 数秒後、ボスは話し始めた。
「ルイか。ああ、俺だ。ボスだ。今日はお願いがあってな。お前のとこの娘さんにお父さんのことを話したいんだが……」
 そこから先は思い出話をしていてライに
「ボス、そこらへんにしましょう」
 というまで続いた。ようやくかわってもらった電話機からお母さんの声が流れてくる。
「あやめ、その人はいい人よ。悪の組織なんて似合わないくらい」
 そういって切れた後、ボスが初めて会った時よりも優しい笑顔でこういった。
「では、ビルに行くか」