コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 悪の組織の一員は正義の味方にスカウトされました ( No.20 )
- 日時: 2013/12/08 19:17
- 名前: 夕陽 (ID: WnzYqE1R)
九話 あやめ、なずなと一緒の夏休み!
里奈と一緒に遊園地に行き、なずなと会ってから約二ヶ月。季節は夏だ。そして夏といえば夏休み。今、あやめは一人で家にいる。
なぜなら、父は一年前に他界している。そして母は、その父の変わりにブラックロードに出勤している。姉は教育自習にいっている。里奈は部活中だ。どうやら陸上部に入ったらしい。あやめは帰宅部だし、友達もそこまで多くないので家にいることができるのだ。
あやめは何ヶ月ぶりだろうとワクワクしながら“今日やることリスト”を眺めた。今日やることリストには、読書、昼寝、インターネットなど里奈といると出来ない事が書かれている。
「どれからやろうかなぁ」
とつぶやきつつ、リストを物色していると
——ピーンポーン
と、来客を伝える音が聞こえてきた。あやめにはそれが世界の終焉の音に聞こえた。大げさすぎるが……。
しかし、あやめは来客を暑い中わざわざきてくれたのに追い返すわけにはいけないと思いドアを開けると……
「こちらがあやめのお宅でよろしいですか?」
丁寧な口調と派手ではないものの上品な服装。
秋山なずなだった。
「でもなずな、きてくれるなら言ってくれればよかったのに……」
あやめはインスタントの紅茶とクッキーを出しつつそう言った。
「いえいえ、気を使わせるのは悪いかと思い……それから、つまらないものですがこれどうぞ」
そう言いつつ差し出した袋は高いけれどおいしいお菓子の詰め合わせだった。
「えっ、これいいの? すごい高いやつだよ、これ」
「そんなことないですよ。私にとって幼少期によく食べていた駄菓子ですから。本当は最近食べた私よりも大きいパフェを持ってきたかったのですが、もってこれないので諦めました」
あやめはなずなの言ったことに感心したり、心の中で突っ込んだりしながら何気なく訊いてみた。
「そういえばなずなってお嬢様なの?」
なずなは少し困った顔になってからすぐにいつもの笑顔に戻っていった。
「そういえばあやめには過去の話をしてませんでしたね」
そしてなずなは意を決したように話し始めた。