コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 善良な悪の組織の一員 ( No.5 )
- 日時: 2013/11/25 20:39
- 名前: 夕陽 (ID: l/SNSBx3)
一話 あやめ、里奈と会う!
図書館に向かう途中、あやめは後ろから誰かに見られているような感じがした。なんだろう? と振り向いて見ても誰もいない。
しかし、正体はすぐ分かった。なぜなら、
「あなたが、いつも公園でごみ拾いしている人?」
あちらから話しかけてくれたからだ。どうやらあやめと同じかちょっと年上っぽい人だ。だが、子供っぽい笑みを浮かべている。
「ええそうですけど……どちらさま?」
「私は、工藤里奈。あなたを正義の味方にスカウトしに来たのっ」
いったいなんなんだ? とあやめは思ったがすぐに
「嫌です。っていうか、私こう見えても悪の組織の一員ですよ?」
「知っているわよ、それくらい。でもあなたには正義の味方の方があっているわっ」
どうしよう。困った人に捕まってしまったようだ。あやめは困惑しつつ、でも里奈の最後の言葉に惹かれた。
——確かに、私には悪の組織になじめない気がするけど……
「とりあえず、今は保留にしてください。では急いでいるので」
あやめは、そういってそこから去った。あまり話していると心が揺り動かされそうだから。
図書館についたあやめは、綾菜のよくいる紙芝居のスペースへと足を進めた。綾菜は小さい子が好きらしく、保母さんになりたいといっている。だからか、よく紙芝居を読む練習をしている。そして感情をこめて読んでいるので、とても面白いとあやめは思っている。
実は、綾菜を探していた理由が、これと関係ある。あやめの学校では三ヶ月に一回小学校との交流がある。その時に簡単な劇をやるのだが、感情をこめる事が苦手なあやめは、綾菜に習おうと思ったのだった。
綾菜はやはり紙芝居のコーナーで紙芝居を物色していた。
「お姉ちゃん、ちょっと教えてもらいたい事があるんだけど」
そういうと綾菜は
「なに?私で分かる事なら教えるよ」
「ちょっと、感情のこめ方を教えてほしくて交流会あるから」
「いいわよ。じゃあ、家に帰って練習しようか」
家に帰った時、あやめはびっくりした。
あやめと綾菜の目の前には、あやめが図書館に行く前にあった工藤里奈がいたのだから。
「あなた、何しているの! あの話は保留にしておわったでしょ!?」
「ふっふっふ。善は急げってことで来ちゃいました〜。で、私と一緒に正義の味方を目指す? それとも悪の組織の落ちこぼれとしていきていく?」
いきなり聞いてきたので驚いたが、あやめの答えは決まっている。
「お断りします」
それを聞いて里奈は目を見開いた。まるで予想外、とでもいうように。しかしすぐに子供っぽい笑みに戻り
「じゃあ、あやめちゃんが正義の味方になるっていうまでここに住むから」
と爆弾を落とした。