コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 善良な悪の組織の一員 ( No.9 )
- 日時: 2013/11/26 18:14
- 名前: 夕陽 (ID: OWyHbTg8)
二話 里奈、転校してくる!
あやめは今、困っていた。
あやめはいつもどうり、起きてから顔を洗い、ご飯を食べ、制服に着替えて学校に行くところだった。
しかし、学校に行こうとする前に里奈が
「私も行くからまってて」
と言ってきたからだ。しかもいつの間にか服もあやめ達の学校の制服に変わっている。どこから持ってきたんだろうか? よく分からない。
だが、あやめにもひとつだけ分かる事がある。それは、関わらない方がいいということだ。なので、
「いやだ。じゃあいってきまーす」
「うぅ、何でそんなこと言うの? うわーん」
しかし、里奈が泣き出してしまった。あやめは、人が困っていると助けてあげなくては! と思ってしまう。だからつい、
「わかったから。早く準備してね」
といってしまった。その瞬間、里奈はイタズラが成功したような笑顔になった。
ちなみに、あやめが里奈の嘘泣きに気付いたのは里奈が制服に着替えて、学校に行く準備が出来てからだった。
いつもよりも大幅に遅れて怒られてしまい、教室に着いたのは一時間目が終わった後だった。ただ、説教の途中で聞いたことをつなぎ合わせるとどうやら里奈は転校してきたようだ。なぜなら先生に転校して初日なのに遅れてきたのかというような事を言われていたからだ。あやめはもし自分のクラスに転校してきたら困ると思ったが、杞憂に終わった。あやめは二組だが、里奈は一組だったからだ。
ただ一つ誤算があった。それは、里奈が休み時間のたびにあやめのクラスに来ることである。そしてクラスにくるたびに、正義の味方になってほしいと頼みに来る。最初は適当に追い返していたが、だんだん悪の組織の事まで持ち出してくるようになった。せっかく二週間かけてクラスになじみそうなのに……。困ったあやめは休み時間のたびに移動するようになった。そうすれば悪の組織や正義の味方などのことを言わなくらると思った。だがあっさり見つかってしまう。一度疑問に思って
「ねぇ、なんで毎回私の場所が分かるの?」
と聞いたところ、
「だって、私には仲間がいるもん」
と返された。本当かどうかはさておき里奈はどこの組織の一員なのかあやめはまだ知らない。しかし里奈もまたなぜあやめが“ブラックロード”の一員になっているのかを知らない。あやめは悪い事はあまり好きそうではなかったし、どちらかというとボランティアを積極的に出て人のためになる事が好きだと里奈は思ったからだ。
——里奈(あやめ)の事、全然知らないんだなあ。
そんな気持ちと共に、4月は過ぎ去った。