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『沙野晴香、グレたんだって。』

そんな噂が僕の耳に入ってきたのは高校一年の夏の時だった。
晴香は引っ越していったはずだ。

僕らの学校とは関係ないところにだ。

だから、その噂は誰かのつくり話だろう。
そう軽く受け止めていた僕が馬鹿だったのかもしれない——…。


晴香が引っ越していった後、僕は考えていた。
舞凜と晴香、どっちをとるかだ。

そんな事を考えるなんて僕は最低だと思われるかもしれないけど
僕にはそうすることしかできないんだ。

だが、その心配は無用だった。
舞凜は同じ運動部のカッコいいヤツに告白されたんだそうだ。

舞凜は僕への想いを忘れるために付き合い始めたそうだ。


この様子だと晴香もそうかもしれないな。

少し気が軽くなったけど悔しい気持ちもした。