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Re: チョコレート ( No.2 )
日時: 2013/12/07 11:41
名前: のら (ID: A6qXPnRR)

【第一話:welcome】


「…あれ」


痛みは不思議となかった。


「…お菓子の国…」


ふと頭をよぎったあの声。


「『お菓子の国から戻ってくれないかもね』って…」


パァァァァァァァァァァァン!!

パパパパパパ…。


「…ッ!?」


後ろの方からの突然の大きな音。


「…何…?」


誰かいるの?

と、そう言いながら振り向くとそこには誰もおらず


【ようこそ僕らの世界へ!welcome!歓迎いたします】


と書かれたプレートと共に、バカでかいケーキが添えられていた。

いちごがぎっしりと乗ったケーキからは甘ったるい香りがした。


【君の名前はヴァニラですね?】


…は?

プレートに書かれた文字が変わった。

私の名前はヴァニラ、なんていう名前じゃない。

…あれ…。でも自分の名前が思い出せない。

なんだっけ…。


【…君の名前はヴァニラです】


「は!?もう勝手に決められてるし!?決定事項なの?」


…意味がわからない。ついつい反論してしまった。


【…君は、強制的にヴァニラになりました(笑)】


「…えぇぇぇ…!?」


(笑)って何…。馬鹿にしてるの…?

ていうか何か面白がってるように見えるんだけど…。

…もういいや、認めよう。


「あーもう!!はいはい!私の名前はヴァニラですよっ!」


【いいんですね?君の名前はヴァニラですね?本当ですね?】


「何かしたいの!?え?さっき強制的に私をヴァニラにしたでしょ」


【…さっきのは、ほんの出来心だったのです】


「いやいや…そのほんの出来心に何分時間かかってんの!?」


【…では、君の名前をヴァニラとして登録します】


プレートに書かれている言葉が変わった瞬間に「ピー」という電子音が聞こえた。…随分と近代的だ。

…しかも「登録」って…。


【君をヴァニラとして登録しました。それではいってらっしゃいませ】


…長い道のりだった。