コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 琥珀ノ末裔 *泣きたくない* ( No.105 )
- 日時: 2014/01/26 16:24
- 名前: 瑠々奈 (ID: qdhAso1A)
「な、何言っちゃってんですか!ウララ先輩、ミコト様は、サギリ様の話では、連れ去られたってことだったじゃないですか?」
ティンクが取り繕う
「…違う、皆、おばあ様が偽物だと言ってるの。サギリもハルカもね」
ウララノはそう言うと、ハルカに問い詰めた
「ミコト…。あの子は前々から ちゃんとした種族のようで。詳しいことを教えて。もしかしたら、おばあ様も、カイも、アサギも…カイ様もミコトも助けられる方法が見つかるかも」
———
「…ウララノ、ワケが解らないんだけど?」
ルリナがプンプンして、お屋敷の外に ずかずか歩み寄るウララノに怒る
ハルカから詳しい話を聞いたあと、ティンクたちは ピンとこないのに、ウララノが無言で歩き出したため、それについていくことになったのだ。
「・・・ま、まあ いいじゃないですか」
その場には、ハルカもついてきている
「ハルカの言うとおりだ。ウララノが言うんだ 何かある」
と ユキヤも無愛想にさっさと言うだけだ。普段、ウララノのパシリとして使われているらしい
「漆黒国の隣、そう。黒黎ノ王国 お願い」
一番に馬車に乗り込んだ ウララノはそう馬車の者に言う
「あ、ネネカさん、留守番お願い。あと、おばあ様の部屋に向かって、大声で、「動け」と、あたしからの伝言だと伝えてください」
屋敷の前で、植物の世話をしていた、銀毬ノ聖ギルドの世話係に、ぱっぱとウララノは事情を伝えると、ネネカは、さっと頷いた
本当によくできていると 内心ティンクは思った。全てが、ウララノの扱いやすいようになっているな、と。
ただ一つ 扱いにくいのは・・・ルリナひとりだ
「黒黎ノ王国・・・?」
ハルカが戸惑ったように呟いた
馬車が うごきだす
「闇術師の「見えない」王国だぞ・・・・・」
ハルカの言葉に、ティンクが えっとなった
「・・・見えない 王国?」
それじゃあ 行きようがない。
「あら 良くいいところに感づいたわね。ルリナ様と大違い」
嫌味っぽくウララノがルリナをチラッと見てから、ハルカに向き直る
「ハルカが持ってる 黎命の紙 これを破ってミコトにも渡しておいたでしょう。それに カイにも。」
切って、もう一度ウララノが続ける
「これは 黎命の紙 これは「見えない国」を見つけ、「見えない国」に居る者と引き合い、お互いがどこにいるか分かる。そして、お互いが生きているかどうかわかる。どちらかが他界すれば その紙はなくなる」
「最初におばあ様は、黎命の紙を、ギルドのメンバーにお授けする。ギルドのリーダーから、仲間うちで 黎命の紙を交換し合うから、見えない国に居る仲間も 絶対に見つかる その代り、黎命の紙は、見えない国に居る者としか引き合わない 引きあうと、その紙は炎を讃え、燃え尽きる」
ハルカの手元にある 黎命の紙は、確かに 炎で 半分燃え尽きかかっていた
「最初は コレも5センチ5センチの正方形だったのよね」
ウララノが言う。
馬車に揺られながら ティンクは 思ってしまう
本当に 都合がいい
なんか ウララノ様って都合がいい
toカンナ(ノドカ)
…闇術師になってから、知った。
ウェネ・ングア
この呪文は、妖術師の呪文図鑑にはないのに、なぜ 妖術師のシュンが使えるのだろうかって その答えを。
いままでは、自分より優秀だからって思って来たし、闇術師の存在こそも知らなかったから不快にも感じなかった
でも…ウェネ・ングアは、闇術師の呪文図鑑にあるもの。
闇術師の呪文…シュンが使えるはずないものなのに…何故?
今のあたしなら使える。こんな呪文 お茶の子さいさいだし、絶対シュンよりも強い。さっぴょんも見返せる力を持ってる
母親も闇術師だったら…絶対 ものすごく莫大な力が使えた。絶対に。
それは——…
それは、シュンが闇術師で、完全なる 闇術師はここでしかうまれないと言われる、黒黎ノ王国出身だった。
あたしの父親もそうだったから、不快にも感じなかったのに——…!
しかも それだけじゃない
シュンは、ルキヤが結成する、秘密結成団、黒闇景色の組織の中の、影人ノ闇団のリーダーだったことを。
その団は、優秀で 現在、この場所の元帥だ。
苛立つ。なんだか。 恨むよ。
怒りをぶつけるように あたしは言った
「ステラ!!」
その言葉は、ラニに引き継がれた
「おまえ…裏切るのか」
その冷笑を浮かべた声に、あたしは冷めたように 嘲笑う
「ふうん、これを見ていて、昔の陰陽師時代を思い出して、悲しくなったか・・・・?」
そのあとに 悔しそうに唇を引き結ぶ エレナが呟いた。エレナは絶対に涙を流さない
「やっぱり どいつもこいつも裏切るのよ」
ステラには、昔、陰陽師だった という過去がある その思いが沸騰したのかもしれない
「おまえ…!」
苛立ちを隠せない様子のラニ。ラニは、他の者にはない闇を備えている者だ。
「ユキヤ様、お願い。ティンクはそっち、ルリナ様はそっちを。わたしはミコトに行く」
その場を仕切る、ウララノと言う少女が指示をした。
「…ミコトかあ。裏切者だし、そこらの陰陽師にあげちゃっても良いけど。やっぱり、漆黒国の魔術師 琥珀反対軍大将に持っていけば、ものすごく売れる故、あたしたちも発展できそうだけど?」
あたしが余裕たっぷりに言うと、ルキヤも、不敵に笑った
「まあ、所詮あいつらには う・ら・ぎ・りミコトを手に取ることもできないだろうがな。」
「…黙れ!急急如律令 鬼」
ユキヤと呼ばれた少年が、あたしを睨む。
「くっ……。なーんてね」
ユキヤの呪文で、一瞬縛り付けられそうになったフリをしたフリをして、あたしは呼吸を整える
今は、殺られたフリして本当に殺られそうだった 危なかった。
ユキヤの呪文で出てきた鬼が、今 いっそうあたしを締め付ける。
頭の中が光いっぱいになって気持ちが悪い
その鬼が いまにあたしを噛もうとする
「ウェネ・ングア! …デス」
その呪文も、ステラに遮られた
「急急如律令 割」
そのまま、陰陽師が居る方向へ行くのだ。
「なっ?!ステラ・・・・おまえ…」
エレナは言葉にならない。ステラが、陰陽師の技をつかえたなど、意外過ぎる。
今に、ステラはこの団の中でも落ちこぼれだった。あたしより一つ年上なのに、ランクはあたしの方が 漠然うえだった。
でも……。ステラは、あたしの技を、今 陰陽道で遮った。
「こうなったら 秘密兵器を囮にしようねえ?」
あたしは、後ろから、クララギを引っ張ってきた
「クララギ様?!」
ルリナが叫んだ
コイツらも…正統で平和主義で仲間思いな琥珀国の 陰陽師 だ。
こんな疲れることばっかりやって。
コイツらは、絶対 囮に弱い
仲間を助けるとか そういう綺麗事を並べたヤツ
コイツらは、絶対に囮で捕まる
腐った根性持った バカ野郎め!!
仲間を想うとか 面倒くさい
意味が解らない
・・でも コイツらが陰陽師
「……おばあ様?」
ひとりの少女が呆然とつぶやいた
「ウララ先輩、大丈夫…ですか」
仲間…か。
悪くない。
見ていて面白い
「汚いぞ!」
苦し紛れに、そいつが吐き出す
「さあ、エレナ。ステラの恨みと憎しみを乗せて、この 「クララギ」と言うヤツを 殺っちまえ!!」
「そうだ…!カンナの言うとおりだ。ステラは、俺たちの闇術を 一発で解除した。ただ者じゃない・・・やっちまえ!躊躇することはない」
ラニも、怒りと憎しみをぶつけるように言った
「はい!!」