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- Re: 琥珀ノ末裔 *泣きたくない* ( No.109 )
- 日時: 2014/01/28 19:09
- 名前: 瑠々奈 (ID: qdhAso1A)
toハルカ
「…ユキヤの言うとおりだったねー」
あたしは、もう 一筋のヒカリにしか見えなかった向こう側が正面に来ていたことに気づき、驚く。
「本当。よかったあ」
ティンクも安心の笑みを浮かべる。
まさか あたしが この後、このティンクと言う少女が 問題を起こすなど思いもしないだろう。
「入り込むぞ!」
ユキヤの鋭い声に、真っ白な光に入り込む。奧の様子は まったく見えなかった
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「…ここ?」
ティンクが歩き出そうとするのをウララノが無言で引き止め、黒い壁の肩越しから、はなしに見る。
暗闇の中で、ふふっと、その少女が、少年に向かって言った。
「ねえ、ラニ。あなたは陰陽師の身体を借りているんでしょう」
「そうだ カイ。と言ったかな」
と、ラニと呼ばれた少年は頷いて、
「これで、アサギまで揃った。」
と言う
「…どういう、こと?」
あたしは 笑いをひっこめて、黒い壁の肩越しに、その情景を見た。今何が起きているか さっぱりわからない。
「では 儀式を始めましょう。皆、集まって」
そう言うと、色んな人が集まってきた
「ウェネ・ングア パラル様 パラル様 我にお力をお授けください。この通り、朱き血を持つ者をいけにえとして六名集めております」
そう言うと、その少女の前に、魔獣が現れる。
「良いだろう。」
そしてその少女は続ける
「わたくしは、闇術師で黒ノ呪団のカンナでございます」
その横で、少年が立ち上がり
「俺は、闇術師のラニだ。陰陽師カイの姿をしている。」
そしてまたその後ろの暗闇から歩いてきた少女が居た。
「私はエレナ。闇術師の黒ノ呪団。」
冷めた声。
「あたしはステラよ。闇術師の黒ノ呪団よ」
と言うと、パラルは満足そうに舌舐めずりして、言った。
「お願いとは なんじゃ?」
その言葉の答えを、代表してカンナが皆の前で言った。
「この世界から、朱き力を持つ者・・・つまりは、琥珀ノ者たちと、 深藍ノ者の血を継ぐ者を消してもらいたいのです」
と言うと、
「…なるほど。良いじゃろう。これだけおいしそうな いけにえにかなうものなどないからな」
「ありがとうございます」
と、カンナは一礼した。
「……どういう、こと。ミコトは…?」
ルリナも、戸惑う。
ウララノとユキヤは、真っ直ぐ目の前を貫き見る
「カンナ、闇術の才能あるな…」
妖術師なのに、とラニが微苦笑した。
「そうね。元は闇術のほうが向いていたのかもしれない」
ノドカ…いや、カンナはくっと笑った。
「行くぞ。よくわかんないけれど、朱色の種族ってのは ミコトもアサギってヤツもいるんだろ。今、パラルにいけにえとして差し出されてしまう!!」
「カイの偽も出てたのよ。やっぱりね!あいつはカイの身体を奪った、闇術師かも。この国だから一番有り得る」
ユキヤとウララノの言葉に、こくこく全員頷いた。
「行くぞ!」
ユキヤを先頭に、その場に乗り込もうとした…その時
「待て!!そんなこと、させてたまるか!!」
「誰だ!」
ドアがバァ——ンッ!と音を立てて開き、その場所に現れた者に向かって、エレナが鋭い声を投げかけた。
「何者だ!」
「何者だ!じゃない!俺はサギリだ…!陰陽師、サギリだ!!もう一度言えば分かるか? 紫咲ノ幻影ギルドの サギリだ!」
やかましいとばかりに、ラニが言い放った。
「サギリ…?!!」
あたしは思わず声をあげてしまった。
ウララノたちの話では、閉じ込められてしまって、その場から動くなと言われていたはずなのに
「出るのは辞めにしましょう。もう少し様子を見るわよ」
ウララノの言葉に全員頷き、また壁の肩越しに見る
「ほう…!おまえがサギリか!!これで朱色の種族の7人がお出迎えじゃないか!」
と言うとパラルの方へ向き直り、
「パラル様。もう一人、いけにえを差し上げます」
「ほう、もう一人か」
とパラルが言う
「こちらの者です。この7人こそが、朱色の種族でございます」
ラニが意気込んで言う。
「カイ様…?!」
サギリは、ラニの姿を見て、呆然とつぶやいた。
「も、もう行こう!」
ティンクが慌てるが、あたしが腕を捕まえる。
「まだ…だめだ」
ティンクが、えっ…と戸惑うが、ウララノにうなずかれ、渋々あたしの言うことを聞く
「…苦し」
サギリが呻いた
カイの姿をしたラニに押さえつけられ、棺のような闇の場所へ、アサギの横に入れられる。
「うふふ、カンナ、成功したわね」
エレナが不敵に笑う
「そうねえ……。これで世界が救われるんだってね」
と、カンナも冷笑を浮かべる
「ウェネ・ングア」
カンナが唱えると、ミコトの瞳が カッと見開かれた。
「…ああ、あんたが裏切者か」
ラニが、くくっと笑う
「裏切り・・・・?」
ウララノも耳を傾けた。
「偽物っ!」
ステラも攻撃に加わろうとしたとき、先ほどサギリが登場した場所から声が聞こえた
「みな、そこまでで良い…」
「ルキヤ様…」
カンナたちは膝摩付き、上目使いで、ルキヤを見た
「よくやったな。さきほどからよく見ていたぞ 黒ノ呪団。ここで緊急、闇術ランク上げを発表する」
「うそー!」
エレナが喜ぶ。
「カンナは刻影5級から6段に格上げする」
いきなりの表彰に、ハルカたちが微苦笑していると、
「そろそろ いけにえを頂いてもよいかのう」
後ろでパラルが今にも サギリに手を出そうとしていた。
「も、もう行きましょう!!」
あたしが思わず前に出てしまった
バ——————ンッ!
物凄い音を立てて、半開きだったドアが開く。
「…待ちなさい!!サギリを返しなさい!!」
思わず、叫んでいた