コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 琥珀ノ末裔 *泣きたくない* ( No.110 )
日時: 2014/01/28 20:40
名前: 瑠々奈 (ID: qdhAso1A)

toはるか

「サギリを返せ—————!!」
ティンクも雄叫びを上げる。
が、その声は、パラルを始めた闇術師たぶんには聞こえていないようで。

「きゃっ!」
エレナが大音に、身をひるがえした

「今すぐミコト先輩を返してください!」
慌ただしく、ティンクが声を上げる

「なんだ!…その格好は 陰陽師か!!」
ドアが開かれ、それと共に、黒い格好の青年が振り向く
正装で装束姿のものたちが、切羽詰まったように乗り込んできたのだ。
動じずにはいられなかったのだ

「ルキヤ様 今すぐに」
カンナはそう言うと 呪文を唱えた

「ウェネ・ングア!…デス!」
(何コレ…。聞いたこと、ない)

その瞬間、あたしたちの動きが止まった…。と言うより 止められた。
黒い縛めが、あたしたちを縛りつけ、動きと呼吸を止めるのだ。

「がっ……」
ユキヤも苦しそうに胸を押さえる。

もう声も出ないほど、あたしも苦しかった

何をすれば…?

「苦しい…ウララ先輩…」
「ティンク・・、大丈夫?」
そう言うウララノも 苦しそうにする。

「…その疎ましい会話!今すぐ おまえらごと闇にぶち込んでやる!」
ラニが、あたしたちの目の前に躍り出てきたかと思えば、顔を真っ赤にし、呪文を唱えようとするが、さっきの青年…ルキヤのほうがはやかった。

「ウェネ・ングア・モニカ!!」
青年が唱えた瞬間、黒い濁流が流れてくる。

濁ったその水は、飲みこめとばかりに、みるみるうちに 濁流の檻を作り、水の檻にあたしたちを閉じ込める

「…あん、じゅつ・・?」
後ろの方で小さくなっていたステラが言った

「闇術師よ…」
掠れるような声だった。カンカンになっている闇術師には聞こえていないであろう

「…溺れ、る…」
ルリナが呻いた。

「…もう、やめてください!!…ウェネ・ングア!ヒリカ!!」
ステラが言った瞬間、全ての闇術が解除された。

「はあ…はぁ…はぁ!」
荒い息をし、呼吸を整える。

相手のステラに ありがとうと叫びたくなりつつあるが、それを押さえて、つぎの攻撃に備え、姿勢を正す

もしかすると ステラは、仲間になったとか助けたくなったとかそういう訳じゃなくてだましとかそういう作戦の内なのかも。
手の内にはなりたくない

「ステラ!!」
カンナが憎しみを込めた思いかで ステラと叫ぶ。それは、ラニに引き継がれた

「おまえ…裏切るのか」
その冷笑を浮かべた声に、あたしはその言葉に反応した。

「裏切り…?こっちの味方か?」
ユキヤも首をかしげる。

「ふうん、これを見ていて、昔の陰陽師時代を思い出して、悲しくなったか・・・・?」
そのあとに 悔しそうに唇を引き結ぶ エレナが呟いた。

「やっぱり どいつもこいつも裏切るのよ」

「おまえ…!」
苛立ちを隠せない様子のラニ。

「今よ!隙をついていきましょう」
ウララノが叫び、あたしたちが頷く

「ユキヤ様はそっちをお願い。ティンクはそっち、ルリナ様はそっちを。わたしはミコトに行く」
ウララノは緊急で指示をした。

「…ミコトかあ。裏切者だし、そこらの陰陽師にあげちゃっても良いけど。やっぱり、漆黒国の魔術師 琥珀反対軍大将に持っていけば、ものすごく売れる故、あたしたちも発展できそうだけど?」

カンナが余裕たっぷりに言った。憎たらしい。ウララノがミコトを助けに行ってしまった。心配だ。

「まあ、所詮あいつらには う・ら・ぎ・りミコトを手に取ることもできないだろうがな。」
嘲笑う声が聞こえる。あたしは、エレナの後ろについた。

「…黙れ!急急如律令 鬼」
ユキヤが、カンナを睨む。

「くっ……。なーんてね」
ユキヤの呪文で、一瞬苦しんだような顔を見せたが、それもお芝居だったらしい(でも本当は芝居じゃないけど。そのことに、ハルカたちは気づいていない)

「ウェネ・ングア! …デス」
カンナが反撃しようとしたその呪文も、ステラに遮られた

「急急如律令 割」
そのまま、陰陽師が居る方向へ 走ってきた

「なっ?!ステラ・・・・おまえ…」
エレナは言葉にならない。ステラが、陰陽師の技をつかえたことを知らなかったのだろう

「…え。」
ルリナが唖然としつつもステラと手を組む。

「大丈夫よ。あなたたちを殺ったりしない」
ステラが不敵に笑う

その言葉が偽とは思えないけれど…

(ふたつも師の技が使えるのっ?凄すぎじゃん!)
あたしは驚いた。
さっきみた、闇術師の技と いま繰り出した陰陽道。どちらも使える

「こうなったら 秘密兵器を囮にしようねえ?」
いらついたカンナが、後ろから、クララギを引っ張ってきた

「クララギ様?!」
ルリナが叫んだ

「……おばあ様?」
ウララノが呆然とつぶやいた。

当たり前だ。自分の祖母が囮だなんて苦しすぎる。

「ウララ先輩、大丈夫…ですか」
ティンクが 躊躇しつつも、気に掛ける

「汚いぞ!」
苦し紛れに、ユキヤが吐き出す

「さあ、エレナ。ステラの恨みと憎しみを乗せて、この 「クララギ」と言うヤツを 殺っちまえ!!」


「そうだ…!カンナの言うとおりだ。ステラは、俺たちの闇術を 一発で解除した。ただ者じゃない・・・やっちまえ!躊躇することはない」
ラニも、怒りと憎しみをぶつけるように言った

「はい!!」
カンナたちが、いっせいに叫んだ。

「それは!関係ないでしょう?!」
思わずあたしは呟いた

「それはステラさんっていう人の苛立ちをあたしたちにぶつけているだけじゃない。あたしたち、関係ないよ」
主張したが、この人たちにはムダだ。

「その通りよ!あんたたちと無関係よ!あたしらは、テキトーに、ミコトとサギリとクララギ様を連れて帰るのが目的なの!なんであたしたちの大切なヤツばっか奪ってんだよボケー!」
ルリナが、ウララノとケンカする時のノリで、挑発する…けど、カイも欲しいんです。

「カイ様は?」
ティンクが突っ込む。

でも・・

分かった。

だって、カンナは、笑顔を浮かべていた

「そーかそーか。なーるほど!ステラの前にコイツから殺っちまおう!」
前に躍り出てきたカンナ。

絶対この人は強い

この人だけは強い

あたしが勝利できる確率も欠片もない

あたしはそう思った。


真面目に戦ったら殺られる。


…いま、出来ること?


「ああ、すまない。薄く、琥珀の石が燃えていた気がしたのだ。」
ミコトは…特別だ。

ミコトは…特別だ。


カイの言葉が、あたしの頭に流れ着いては消える


今できること…何だろう。


戦うコト?攻撃は最大の防御って言う。

…そうじゃない。

なんか違う

なにかが違う

最大の何かが違う

何を考えても頭でパッと消えてしまう



(何が違うんだろう…)