コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 琥珀ノ末裔 *記憶を失った少女* ( No.141 )
日時: 2014/02/19 21:14
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: ysgYTWxo)

toアサギ

消灯の時間のはず。

なのに誰も文目の間に来ない。
ハルカ・ミコト分の布団も敷いた。

戸をあけ 外に出て ちょっと廊下を歩いた。

渡り廊下の向こうに食堂がある。何となく水でも飲みに行こう。

水なんて自分の部屋でも 飲めるが ちょうど 今日 文目の間に集まったりもしたので お茶を切らしていたから、お茶葉を取りに行くついでと 
あと誰か会えるかなーという期待もあって。

カツカツカツカツ

下駄が静かな廊下でかたかたと音を立てた。
世話係や、クララギ様などなど に見つからないよう。

角を右に曲がれば 食堂がある。

でも 人の声がして 食堂前の扉で 固まってしまった。

「…ショック——…なんでー!!あのひと、そんなにんげんだった?」

「わかんない。けど、けどアサギせんぱい って ギルドメンバーだけでもきらわれてるし」

「え、でもあそこ がったいとか、したんでしょー」
「それが がったいしても なかまから はんかん買ってるって。なかまはずれにされてるみたいだし。」

「へー!でも、さっきも メンバーのステラせんぱいはハルカせんぱい といっしょにいたけど いないじょしは アサギせんぱい ぐらいだものね。」

「うんうん !ミコトせんぱい&マガナせんぱい は ゆくえふめいっていうしさ・・心配だね」

「…まさかの、ミコトせんぱい、がねえ…」

「でも アサギせんぱい かわいそー。なかまはずれ♪」

「そうだよねー。このまんまじゃ じじょうもなんにも おしえてもらえなくてチームから ついほう されちゃうよー」

「そうそう でもあの 性格 じゃしょうがないんじゃない? じつりょく があるのはわかるけどさ みせびらかしてんじゃ」

『ねえ!』

白い長机でしゃべっている二人の女の子。きっと、小学二年か一年生。背格好が自分と同じくらい。

話が見えない

(ミコト先輩が・・・・ゆくえ、ふめい?)

「白い光がぱーってなって ミコト先輩がマガナ先輩につれていかれちゃったって うそみたいだね」

「でもほんとよ だって ミコト先輩いなかったもん。にしても ステラ先輩とハルカ先輩は カイ先輩にも相談して ひっしになって 捜索してるのに アサギ先輩さいてーだよね」

「きかされてないんだよ。仕方ない」

「そうだよ。ハルカ先輩も アサギには言わない あいつに言うともうやだ。ってこわいかおしてたもんねー」
「ステラ先輩もだよ。アサギは知らないほうが良い 知らなければいいってめっちゃこわいかおしてたもんねー」

「そろそろかえろっか」
「そうだねー」
二人は仲良くそろって あたしの方へ来る


(先輩…)


みんな そんなふうに 思っていたの?
あたしのこと、邪魔だって。

あたしに言うと 困ることが起きるの?
あたしは知らなくていいことなのかな。


あたし 嫌われていた

笑顔を向けられていたけど あれは偽りのもので

本当は 嫌われていた?


自分が信頼していた分 悲しすぎた


「なんで………」
不思議と涙が出てきて 止まらない 食堂の戸に背を預けて 声をうずめた。

「…ん?だれだ」
女の子に顔を覗き込まれて 突き飛ばした

「近寄んな!!」

「…あ、アサギ先輩!!」
逃げるようにふたりは帰っていく。

(もう どうすれば)

——でも いままで つい この前まで そういうふうだったよね。
自分が活躍した未来風の夢を 独りぼっちで、抱いて

何もかも 大人っぽい考えだったから 同級生や幼馴染から、前から見放されてたもんね。

だからずっと 上を行くことばっかり考えてたんだよね。先輩ばっかり見てたよね。
今を大事には しなかったもんね。

——………でも

ティンク先輩……。
ティンク先輩、居なきゃ あたし。

もっと見離されていたかもしれないんだ

しばらくしてあたしも お茶葉を持たずに 部屋まで戻った
———————
夜・・・遅く

戸が開いた。


わずか差し込む光に眠れなかった あたしが微かに動いた。

布団を入って背を向けているあたしの横に、用意された布団に横たわったハルカだと思われる 人影

「…ハルカ先輩ですよね。起きてます?」
あたしは、ハルカに言った

「うん。アサギこそ、起きてたんだ」
布団に転がって 掛布団をかけなおして 向き合って話す

「ミコト先輩は。」
ハルカが、言った

「まだ仕事じゃない」
…嘘のくせに。

「ほんとに」

「ほんと」

あたし…

いま

…ひとりだよ。

二人なんかじゃない、よ。


三人 四人と肩組んでないよ


ひとりだよ。

助けてよ。


手を伸ばせよ。

あたし…

いつも 手を伸ばしてもらえるって 思ってたのかな