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Re: 琥珀ノ末裔 *紫水晶* ( No.15 )
日時: 2013/12/14 14:28
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)

「み、ミコト先輩!私、私、すっごく憧れてるんです!!」
と、まあ、こんな調子で、赤朽葉かんざし少女のティンク

「あ、アサギのほうが憧れてますよ!」
と、競うような調子の、花緑青正装少女のアサギが、私を扇の間に居れるなり、言い始める

ひとり、私がたじろいでいると…

「ティンク、アサギ、おまえらやめないか」
と、赤朽葉色の鳥帽子の少年が、ふたり、輪の中心に入ってきた。

「…なんと!」
と、そのうちのひとりが、私に気付いたようで、急に正座になって膝摩づく。

「ど、どうしたというのだ?」
私が、膝摩づいた二人に目を向けると

「ミコト様ではありませぬか。これは無理もない。」
と、答える気はなさそうだ。

「アサギ、自己紹介はしたのか。」
と、アサギと同じ花緑青の正装をまとった男女ふたりがやってきた。

「はい。コースケ様」
と言い、アサギは後ろへ下がる

「我は、花緑青ミレイというギルドのユメでございます。5年生です」
と軽く礼をして その女の子は後ろへ下がる

「同じく 花緑青ミレイのリーダー、コースケという。5年生だ。アサギが迷惑をかけたりしてないか?」
と、甘いマスクの裏腹、冷静な声が響く

「いいえ」
私が大丈夫と告げる。

その後、後ろにコースケを下らせ、赤朽葉の鳥帽子のふたりが前に出てくる。

「俺は、朽葉之実ギルドの、ハルキってんだ。こっちは無愛想なトキ」
と、ニカッと笑い、トキの背中を押す

「悪いが、無愛想ではなく冷静だと言ってほしい。」
と、そそくさと下がってしまう

「ちょっと。ハルキ様、ミコト様に対してご無礼ですよっ!」
と、ティンクが顔を真っ赤にさせる・・が。本人は

「それなら、トキも同罪だ。」
と、涼しい顔のハルキである。

「…知っての通り、紫咲ノ幻影ギルドのミコトだ。」
と、軽く一礼した後…

「で、私に用とは何だ?」
と、アサギがその瞬間に、ユメと、コースケ、ハルキとトキを追い出す

「ちょ、ちょっと出ていってください。」

「はあ?」
と そそくさと、追い出される。

「この通り、朽葉之実ギルドと、花緑青ミレイギルドは、仲が良いんです。なので、お屋敷の方にお願いして、女子の部屋は、私、アサギ、ユメ様。男子の部屋は、トキ様、ハルキ様、コースケ様になっているんです。
そうすると、通常より二部屋少なくて良いでしょう?だから、その二部屋分を、私たちの二つのギルドの相談場として使ってます。その相談場が此処なんですよ。」

と、ティンクが微笑んだ。

「そうですか」
ミコトも微笑み返す。

「あ、こちらへどうぞ」
と、アサギに勧められた席で、二人と向かい合う。

「まずは、あたしから」
と、アサギが言う。

「…あの、私……。ギルドの中で、一番弱いんです。魂とか、守護霊の力も弱いし、正直、ミコト様をお呼びするのも、本当に苦痛だったんです。もし、断られたらどうしよう。そう思ったら怖くって…」
さっきとは打って変わった様子の、アサギに、少し目を瞠る。

「で、お願いがあるんです。トキ様とハルキ様には言わないでください!!」

「その……。大変ご無礼なのはお分かりですが、しばらくの間、あたしも、紫咲ノ幻影ギルドの、修行に居れてくれませんか?」

ティンクが、目を瞠った。

気さくな ハルカと、カイなら、そんなこと軽く許してくれるに違いない…でも。ギルド長が何と言うだろう。

——
「ちょっと、気になる」
なんとなく、に付き合わされて、トキは、ハルキと共に 盗み聞きすることになった

扉の向こう、声が聞こえる

『まずは、あたしから』
だんだん、声が遠ざかっていくから、すこし、神経を研ぎ澄まして、トキとハルキは、夢中になって聞いていた。

『お願いですっ!!』
二人の重なった声がする。

トキとハルキの間には、沈黙が流れていた。

「トキ様とハルキ様には言わないでください!!」
アサギの必死な声が聞こえてくる

「へえ。」
と、トキが面白そうに笑った。

「……ふ〜ん、そういう」
アサギの声聞こえる、扉の向こう。トキとハルキが、真面目な顔になった