コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 琥珀ノ末裔 *紫水晶* ( No.16 )
- 日時: 2013/12/12 16:14
- 名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)
「だめ・・ですよね。」
扉の向こう、哀しそうなアサギの声が響いた。
トキやハルキの目の前での修業では、
いつも楽しそうに。悩みなさそうにふるまってるだけあって、この裏一面は、今まで自分たちに心配をかけまいと考えていたことだったのだろうか?
「トキ、もう行こう。」
ハルキは、トキを連れ、無言のまま、部屋に戻った。
——
「…」
なんといえばいいのだろうか。
ギルド長に訊いてみてから。っていうの?
ダメだ。っていうの?
上の誰かの了承なしに いいよっていうの?
その一言が重たすぎて、言おうと思っても、どうしても躊躇してしまう。
でも、それは、それは、上の誰かに怒られることを恐れてるだけ…なら。
「……いいぞ。」
なりふり構わずぶっとばせばいい。あとで謝ればいい たまにはそれでもいいんじゃないか。って思った
「ありがとうございます!」
と半泣き状態の、アサギが言った。
「あたし、まだ二年なのに、でしゃばったマネをしました。すみません」
「違うわよ。」
私が否定した。
「あなたは 三年生よ」
そして、私は・・五年生 と心の中で付け加える
「…そうですね。」
「自信を持てばいい」
それが、ひとつの教え。ミコトが誰かに言われた。そんな教え。
「で、ティンクはどうしたの?」
というと
「私は、ギルドの中では、私は優秀で、修行の毎日がとても楽しいです。しかし……。ユメ様とコースケ様はできるのに、私にはできないものが一つあります。」
ティンクの言葉だけで、努力家なのが伝わってくる。何でもやりたいと。やれるようになりたい…。ギルドの中の一番じゃなくて、お屋敷の中の一番じゃなくて、世界の一番になりたい・・・。と
高望みしすぎかもしれないけれど、大事な一言。
「想定の力も無いかもしれないのに、やりたいと言い過ぎるのもなんですが、これは絶対やりたいんです」
「式神、です。」
「!」
式神とは、陰陽師が使役したとされる使役神を言う。
精霊を使役するものだとか、陰陽道で用いられる六壬式盤に由来するとの説がたくさんある。
古く、陰陽師にとって占具である式盤は最も身近な存在であり、天盤と地盤は合して宇宙そのものを表す。
それ故強大な呪力を持つとの信仰が少なくとも密教側の史資料には散見され、「都表如意輪法」等、陰陽道の式盤によく似たものを作成し、一種の呪具と見做し祈祷することで種々の利益を得るとする信仰があった。
「…ミコト様は、お使いになられますか?」
「やったことが無い。」
そう答える。ハルカはできない。となげいていたが、カイはできるらしい。
「一度、やってみてください。」
と言われ、途惑う。
そんなに急にできるものではないのだ。
「神よ…」
しかも通常の場合は、なにか宿っていそうな物の五行の属する十干十二支の日を選ぶ。
が、今回は急なので、手持ちである、ひとつの式神を手に持つ。
その式神は、自分の守り神・・だから、なるだけ使いたくはないが…。
「いいですよ。式神は、こちらで」
机の上に式神を出す、ティンク。準備が早い
「では、使わせて頂く」
これは、最近ショップで売っている式神だ。売っているものよりは、絶対つくったものの方が効き目はある。
さらりと、式神に引っ付いている半紙を取りだし、ささっと半紙に★を書く。
その中に点を描いて丸で括る。
その下に縦に「御神剣」と書く。
その右横に縦に漢数字で12345と、左横に678910と書く。
東西南北に各一礼して水を軽く3本の指(親・人・中)に付けて撒く。
部屋の中心にさっき書いた半紙を置く。
ショップの式神を乗せてその上に、琥珀ノ欠片石を置く。
本来は 何か宿っていそうなもの。なのだ。
何か宿っていそうなもの は、自分で見極めることが先行だ
「宿りし者の力と念を、わが元においてこのの元へと移す。天霊霊地霊霊十二神将急急如律令。我が力に従いて、その力、ここに聞こし召し給え急急如律令」
そういうと、ミコトは、一礼した。
——
扇の間の扉…。ハルカが、静かに扉に背を預けていた。
「……馬鹿者め」
その声は、憎しみと憎悪をあらわにしていた。