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Re: 琥珀ノ末裔 *紫水晶* ( No.24 )
日時: 2013/12/14 14:30
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)

「ミコト様はっ!」
朝、布団から引きはがされ、目を開ける…と。

「此処っ!どこですか!!」
飛び起きるが、此処は見覚え無い場所だった。
白い壁 白い天井 白い布団

全部真っ白だ。


時計を見る。
7:30

朝の修業時間は、6:00ぴったりから始める予定なので、いつも5:00起きが普通

ミコトは、見事に(おやじギャクじゃありません)遅刻だ。

「大変だ!」
と、布団から飛び起きようとしたとき、止められた

「ミコト、今日の修業はもう終わったわよ ゆっくり休みなさい」
とハルカが、微笑みつつ…厳しく言う

「え…」
なんだか、ちょっと気分が優れないな。と思った時

「おまえ、覚えてないのか?とにかく、横になれよ。」
と、カイに促され、横に居たアサギも頷く

「そうですよ」
と、左を向くと、医務室の方、リセナだ。此処は お屋敷の医務室だ。

「どうして、此処に…?」
いくら寝癖が悪くとも、3階の部屋から1階の医務室まで、転がってくることはないだろう

「そんなわけありません」
と、私の気持ちを知ってか知らずか、リセナが言う

「それじゃあ、カイ、ハルカ、アサギ 経緯を話して差し上げなさい」

「はい」
——
「ようし!準備はいいな?」
アサギも、朝早くから出迎えに来て、今日も朝の修行が始まる。

「ミコト様、大丈夫ですか?」
皆より、遅足なミコトを気遣うアサギの様子が見られる。

(ん?)
カイは、それは気になったが、我慢しがちなミコトを余計に気遣い、何も言わない。

「…大丈夫だ」
というミコトだが、あきらかに顔色が悪いのがわかる。

『泰山府君祭・刀禁呪・浄心呪・浄身呪・浄天地呪!!』
足で川原の大地を踏みしめ、千鳥足様に前進する

これは、朝の修業の最初の儀式

「・・・・!大丈夫か」
カイの横で、前進したミコトがよろける

「…大丈夫だ。」
あきらかに大丈夫ではない。

アサギやハルカが、今にも何か言いたそうな顔をしているが、カイの気持ちを読みとってか何も言わない。

禹歩うほ!」
つぎはミコトが言う番なのだが、変わりにアサギが言う

禹歩の本来は 夜、北斗七星に向かい柄杓方を象ってジグザグに歩くものであるが、紫咲ノ幻影ギルドは このやり方である

魔を祓い地を鎮め福を招くことを狙いとしており、ドーマンの九字と同様であることが確かだという。

「臨兵闘者皆陣列在前!」
ハルカが叫ぶのにならって、私とカイとアサギも言う

『臨兵闘者皆陣列在前!!』
九字。今日の修業は、アサギも、ちゃんと覚えてきたのかしっかり言えている。

『青龍、白虎、朱雀、玄武、空陳、南寿…北斗…三体…玉女——』
アサギの視界で、ミコトが傾くのが見えた

すぐにでもとびだして支えたいが…掟がある
修行の途中では、神に失礼なので、他のコトに神経は集中させてはならない

「清め…終了!!」
ハルカの叫び声が聞こえた後…

「ミコト!」
カイをはじめ、全員がミコトに近寄る

「熱、有りますね。」
アサギが、頬や額に手を当て、自分の体温と比べる

「貧血じゃないか?すぐ医務室に行こう」
と、カイがミコトを背負おうとする———時、

「いい。自分で…ある…ける………」
そのまま、歩こうとするが、よろけてまた傾く

「ほら、無理するんじゃねえよ。」
と、カイが無理矢理あえぐミコトを背負う

「…?ミコト様、医務室嫌いなんですか?」
とアサギが言うと、

「・・嫌いじゃない!」
と、火照った顔で、ミコトが断固言う

「ほら、病人は静かにする」
と、ハルカがなだめた後

「そうなんだ。経緯は長くなるからいつか話す。が、あいつは本当に医務室嫌いで困ってるんだ」
と、ハルカが、ミコトとカイの背中を追って走り出す

アサギは、ミコトの意外な一面に気付けて、少しこそ嬉しかった。
-
「……降ろせ…降ろせ…降ろせ…降ろせ……ろせ…………せ……」
カイの背中、ミコトは、頬をカイの背に預け負ぶわれていた

「呪文のようにいうな。」
と、吹き出しそうになってカイが言う。

「……おまえ、二度と無理するな」
その声は、淡々とし、冷たい声だった。

「……ったく、せっかく可愛いのにさ」
と、ボソっと言った声が 薄々聞こえていた