コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 琥珀ノ末裔 *紫水晶* ( No.26 )
- 日時: 2013/12/14 14:31
- 名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)
「ああ……薄々、思い出しました」
と、言うと、みんなが頷く。
「大丈夫か」
少し低い声が、響いて、思わずミコトが身をよじらせ、横を見る。と、顔色の悪い、容態の悪そうな男の子が、布団に横たわっている。
「閉めるぞ」
と言い、医務室のサザンカが和風の仕切りを置く。
これで、向こうに居る男の子の顔は見れない
「…ここ、医務室?」
私が訊く
「ああ、」
バレたか?という風にカイが頭をかきつつ、言う
「そうだよ」
「……あの、ありがとうございました。」
と言い、布団から上半身だけを起す
医務室の布団から感じられる記憶は嫌なものしかない。
「過去に何があったかは知りませんが、ミコト様、お戻りください!」
起き上がろうとする私に、アサギが、睨みつけるように鋭く言った。
「…嫌です」
断固として、私は断る。
嫌だ。絶対ここにはいたくない。
「ほら、まだ高熱があるんだしベットに戻らないと——」
と、リセナが言いかけたところで、ふらりとめまいがして起きることもままならなくなってくる。
どうも、気分が優れない
「ほら、戻れ」
と、ハルカが、私を布団に横たわらせる。
「くっ…」
もう逃げ道はない事を知ると、ミコトは仕方なく布団に戻る。
「それじゃあ、俺らは仕事があるからさ。」
と、カイとハルカと、アサギは行ってしまう
「逃げられませんよ。」
と言い残して、リセナも、部屋の外に出る。
(つまらない)
もう立ち上がる気力もない。逃げようなんて考えは、もう人っぽちもない。
「ふう…」
ちょっと息が苦しくなって、ぜーぜーしてると、横からも苦しそうな声が聞こえ、気になる
「ミコトちゃん、コレ、食べれたらどうぞ。あ、今から、私もサザンカも本当に急な用事で、留守にするから、代わりの方が来てくださる予定だったの。でもその方も急用 あなたとカイトだけになるんだけど、カイトをよろしくね」
「え?」
「カイトは、身体が弱いの。もし自分に余裕があったら、様子見てやって。」
「はい」
医術師が留守なんて 非常事態なんじゃないのか?
ミコトには、逃げる隙が出来たと嬉しい所だが
「ミコト、逃げられると思ったら大違いです」
と釘を刺され、あきらめる
「じゃあね〜」
と気楽に去っていくリセナ
(ん〜)
一応、ほうじ茶だけは飲む。でも ほかは申し訳ないが食べる気になれなかった。
しばらく、休んでいると、横からの苦しそうな息が気になった
「……大丈夫か」
思わず、声をかけてしまった。
「……誰?」
布団から出て、仕切りの反対側へ行く。
「ミコトだ。」
仕切りに背を預け、言う。
「……紫咲ノ幻影ギルドの…?」
そいつは、布団から顔を出す。
「ボクは、カイト。一応、海ノ紺碧ギルドなんだ。」
と言いながら力なく笑った。
「君、「ミコトだ」
「あ、うん。ミコトこそ大丈夫なのか?休んだ方が…」
と言われるので
「大丈夫だ。」
という。
「…飛び級で五年生、なんでしょ」
と、カイトが言う
「…どうして」
「有名だよ。ボクも飛び級で五年なんだ。」
と、カイトが言う
「ボクは身体が弱いから、布団に居るのが多い分、授業も修行も ままならない。学校は休みがちだから、友達は居ない…だから、ノートももらえない。」
「だけど、その家に居る時間を、病気の時にでも活用して、頑張って勉強したんだ」
「そうなんだ」
背もちっちゃくて痩せてるから、ちょっと飛び級五年だとは思わなかった
別に痩せてて悪いことはない。
「はあ…ふう。」
と、息をつくと、カイトは、置かれていたほうじ茶を飲んだ。
「……」
と、上半身だけ起き上がって、ノートを開き始めた。
「それ、なに?」
私が聞く ノートには摩訶不思議な文面が書かれている。
「今、学校で習ってる、式神 の勉強のノート。これも自己学習みたいなものなんだ。」
「へえ。」
紫咲ノ幻影ギルドになってから、あまり学校へは行かなくなり、ハルカやカイ。元帥には教師が付くから、ミコトの専用教師、アイリと共に、たまーに勉強する程度だ。
「式神」というキーワードにギクりとなりつつあるミコトである
「式神、使える?」
と言われて
「うん」
と答えるしかない。
「…君、今式神の効果が出てるよね?」
「え!」
ミコトが、あっとなる
「ボクの霊力は、一応あるんだ。それを使えば それくらいわかる」
と、笑った顔が、少しだけ…少しだけ、カッコイイ。
「…カイトは、使えるの?」
と訊くと
「ああ、市販のヤツでもできる。」
カイトがそう言い、頭をかく
「一緒だ」
と ミコトも言う
「でさ、私…ここから出たいのだが。」
というと
「君、「ミコト」
カイトは、ミコトの言葉にうなずき、つづけた
「ミコトだって、病人だろっ……寝てないと」
という
「……やだ。出る」
というと、仕方ないな。とカイトが揺らりという。
「ダメだって。ここの部屋、鍵がかかってるんじゃない?リセナ先生の霊力を上回れば外せるかもしれないけど…」
というカイトの言葉に、二人でニヤリと笑った。
「どうやら、同じことを考えているらしいな」
ミコトはそう言いつつ、頷いた。