コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 琥珀ノ末裔 *紫水晶* ( No.35 )
- 日時: 2013/12/19 16:17
- 名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)
「私は 立派な妹よ。」
その少女は言い張った。
「…自己紹介から始める。」
カイが頭をかいた。
「私は
- Re: 琥珀ノ末裔 *紫水晶* ( No.36 )
- 日時: 2014/01/22 19:52
- 名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)
その少女が口を開こうとした瞬間に、目覚めた。
周りは、人が居る
「!!」
顔色の悪い男の子が、ぱっと明るい表情になった。
「ミコト!よかった。」
…?
もう一人の男の子が 喜んで、私の周りを駆け巡る。
布団だったし、下が薄いから、少し背中が痛い。
「ミコト…。心配させるんじゃないわよ」
と、その女の子は言った。でも、顔はうれしそうだった。
「…ミ、コ、ト?」
声が出た。
「……。ミコト様?あたしですよ。アサギです」
その少女は、笑顔で私を見た。
「…?」
「…!」
男の子が、気付いたように目を瞠る
——…沈黙が流れる。
「・・もしかして」
二人が目を合わせ、私をじっと見つめた。
「…ミコトは、記憶を失っているのか?」
そいつが、後ろを見て言った。
「え…?!でも、二連続でこんなこと…ありえないです! ということは、昨日、ハルカ様とカイ様が一緒に、修行に行かれたことも忘れたんでしょうか!」
その女の子が叫んだ。
「そ、そんな!」
ほかの女の子も叫ぶ。
「落ち着け。アサギ ハルカ」
誰かがたしなめた。この少女は…アサギ、というのか?
「ミコト、分かる?」
大人の女性が、私に向かっていった。
どうやら、私は「ミコト」という存在だったらしい。
「……?」
黙っているつもりはなかったのだけど、返し方がよくわからない。
「記憶を失ってるみたいね。」
また その人は切り出した。
「…でもね、うちでは記憶の治療は出来ないの。一応、ちゃんとした 医術師の方には連絡してみるけれど、それで治るとは限らない。そんなことするより早いことがあるわ」
「今すぐやります!」
男の子も、悲鳴あげる勢いでしゃべった。
「こうなると、地道にやっていかないと記憶は戻らない…。ハルカ、カイ、アサギ。そしてカイト。」
その人は みんなを見やって 言った。
「ミコトの記憶を回復させるには、あなたたちが一番関連するはずよ。私はリセナよ。ほら、こんな感じで。」
と、その人は目を伏せた。
「…あたしは、アサギっていうんですよ。 あ、さ、ぎ!」
と、そのアサギ という少女は、私に向かって言葉を投げかけた。
「…っ」
あさぎ と声に出してみたかったのだけど、声が出ない。
「俺はカイ。こっちはハルカ」
と、カイとハルカがにっこり笑う。
「ボクはカイトです。」
カイトが頭をかく。
「気分はどうですか?」
カイトが続けて言う。
「っ……」
しゃべれないから頷くしかなかった。
「……気分は良さそうね。部屋まで戻ってもいいわよ。」
リセナが言うと、アサギとハルカが私を起き上がらせる。
立とうと、足に力を入れるのだけど、全く起き上がれない。
「……」
と、それに気づいた カイが私を負ぶって、その部屋から出た。
「…おろ・・して」
わたしが喘ぐと、たぶん…カイが、私を降ろした。
階段を登り、登り・・・・。カイトは居なくなってしまったが、ハルカとアサギは来ていた。
そのまま、翡翠の間 と書かれた看板の大きな部屋に入っていき、カイが私を座布団の上に座らせる。
「俺たちは、なんという名前のギルドだ?」
「……」
私は黙っていた。
「此処は、なんという国だ?」
「………」
「俺たちは、何師」
「……」
喘ぐことも叫ぶことも何もできない。ただ、ボーっと話の意味を理解しようとし、頷くだけ。
ハルカはお茶を入れ、アサギはのんびりと出されたお茶菓子を食べていた。
ただ カイだけは、しつこく私に言ってくる。
「何歳だ?」
「俺の名前は?」
理解していることも多いのに、しゃべれない。
「この紙に書くだけでも良いですよ」
私の容態に気付いたのか、アサギが、言った。
「…」
私は、だまって書いた。
「カ…、イ」
カイが、その文字を読んだ。
「どうしてしゃべらない?」
「し・・・ゃ・・・・・・べれ・・・ない」
またカイがそれを読むと、あっとなったように言う。
「……おまえ……」
「カイ、ちょっとキツイと思うよ。まだミコトも回復しきってないんだろうし。はい、コレ。飲むといいよ」
と、ハルカにお茶を出される
その後も、カイはしつこく質問を繰り返す。
「昨日は何をした?」
「……わか…らない…やっぱり記憶を失っているんです!」
アサギが読み返すと、顔を手で覆った。
「くっ…」
ハルカがうなずきつつ、言う。
「…どこまで記憶があるんでしょうね。」
そのあと、カイが言う。
「知っていることをかけ」
…
草が生い茂った所に、やや強そうな魔物が現れた。
そこに、必死で立ち向かう誰かが居て、私が助けた。
…
「…なんでしょうかね?」
アサギひとりが首をかしげていると、ハルカが言った。
「これ、本当に本当の初日。初めて ミコトがギルドに入るってところの時のこと。いろいろあってミコトが記憶喪失にされたあとの…まあ色々あって、私はわかってる」
恥ずかしいことでもあるのか、ハルカは断固として言わなかった。
と、カッと アサギが目を見開いた。
「クララギ・・・・・・。ルキヤ、ステラ、ラニ、エレナ・・・ノドカ」
「…クララギ?」
カイが傾いた。
なぜに、記憶喪失のミコトから クララギ と言う言葉が出てきたのか。
「…わかりませんけど、途中の記憶は覚えているのかな?」
アサギが言った。
「そうらしいな。」
三人が、ため息をついて私を見た。
お茶が熱くて飲めない。
「………あの…、その…」
アサギが、私をちらりと見た後、迷ったようにカイとハルカに言った。
「私に、この紫咲ノ幻影ギルドの結成から、今までのハナシを、ミコト様にするのと同時に、訊かせて頂けませんか?」
「…一部、省きたいんだが。どうする?」
ハルカがちらりとカイを見た。
「分かった。いいぞ」
カイがうなずいて、ぽつりぽつりと話し始めた。
ミコトも素直ながら聞いていた。