コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 琥珀ノ末裔 *忘れられた日* ( No.38 )
日時: 2014/01/22 19:56
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)

何?あのミコトってヤツは……。

内心、ハルカは陰陽道に相応しくない考えばかりを浮かべていた。

それは、さっきのコトだった。
——
講堂から出て、ミコトとは会いたくはない。そう考え、裏庭から回ろうとした考えがバツだった。

裏庭は、結構森っぽくなっていて 獣が出てくるのも普通。

ハルカにとっては、そんなザコ獣は、一発でおしまいなのだが…

ガサガサッ!

茂みが奮い立て、ハルカが気付いたころには目と鼻の先に 獣 が居た。

この辺りで、獣などでない。

という常識にハルカは縛られていた。

「きゃっ!」
とっさなことで呪文を唱えられない。しかもその獣、結構大きい。

しかも、異常に大きな鎌のような腕を持っている。
それをハルカめがけて振り落す。



「急急如律令『突』」


舌打ちし、ハルカが呪文を唱える。
それらは呪文に逆らうコト無く、効果を果たしていく。その森の一部の樹が舞いあがり、天高くまで上がり、その獣めがけてひゅうと吹いていく。

勿論ハルカの力に、殺られては居るが、あまりダメージがなさそうだ。

その獣に立ち向かおうとするが ハルカでは力不足だ。
また腕を振り下ろそうとするので、腕を切ってやろうと、また呪文を唱えようとしたとき。。




「死者は東岳泰山へ去り、東岳大帝に跪け 正者は西方西安に迎え、西王母に譲られん」



「急急如律令『燭』」



その獣が真っ二つに切り付けられ、金切声をあげる
羽が霧散し、焼け焦げ……跡形もなく消え去った

聞いたこともない呪文を唱えたその主は、 「あの」少女だった。

「ミコト…!」
驚きのあまり声がかすれる。

「下れ!」
その命令口調。……だけれどミコトのおかげで助かったのだ。

でもそれは認めたくなかった。
沸々色々考えているうちに、ミコトとハルカは、獣たちに囲まれていた。



「急急如律令『縛め』」



仕切りと、ミコトは呪文を言い放つ。

その瞬時に、獣たちは、ドミノのように霧散していく。

ハルカも、できるところ を見せかけたい。と思い、言った。



「急急如律令『突』」

が、その呪文はただ虚しく響くだけ。

「下れ!」
やはり、命令口調。
悔しすぎる。

前に出たいのに、助かるにはミコトに任せるのが先決だ。


また、ミコトが口を開いた。

次々と出てくる獣をさらに一殺し


空を切る鎌が、ひゅんと飛ぶ。

獣の仕業だ。


「伏せろ!」
そう言われ、ハルカは渋々引き下がった。










「急急如律令『混沌』」








カッコ悪い。

これは 絶対カイには言わない。

他の仲間が出来ても誰にも言わない。
——————
「ハルカ、大丈夫?」
そう言われて、ハルカが起き上がる。

そうだ!お別れ会だったんだ。

シュリとシュウの。

「悪い、ハルカこういうの苦手だったよな」
と、シュウがつけていたビデオを止めた。

「これ、クララギ様から シュウ様が 受け取られた、人間界産のビデオとテレビだと、言うことです。ホラー系はハルカ様苦手でしたでしょう? お気を召していませんか?」
カイがいつも通りに言うが、今日はうざったるくてしかたなく。

「消してっ……」
呻くようにハルカが言う。
シュウは、悪い悪い、と頭をかきつつ、ケーキを勧めた。

「ほら、これ食べれば元気出るんじゃない?」

「わー!」

さっきのは、夢

夢だけれど本当にあったことだ。

つい、さっき。いや、昨日。

この場にミコトは居ないし、あの性格ならミコトはいうコト無いだろうが、絶対これはシュウや、カイ、シュリに秘密だ。

カッコ悪いから。たとえいつかバレるとしても いまはバレてほしくない。そう思った。