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Re: 琥珀ノ末裔 *忘れられた日* ( No.41 )
日時: 2013/12/29 14:11
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)

あの力は 本物だった。

陰陽師、ミコトが出す霊力

青白い光がぱあっとミコトを照らし…そして、獣へと一直線に光をつなぎ、獣を貫く。

何回も頭の中で再生する。

さっと呪文を唱え、……。

的確な判断で相手の攻撃ひとつこそ見逃さない。

たぶん、自分にはできない。いつになっても・・無理、なもではないだろうか?

シュウやシュリも、確かに霊力さえはあって、思わず見とれるものや、やっぱり先輩は違うと思うところだって 存分に見せられてきた。

——でも、ミコトは違う。

自分より二年生きていない。

ハルカには二年分の人生があったはずなんだ。

年の差だけが問題じゃなかった。

あれは…。沢山の年を重ね、年中頑張ったって ハルカにはできない。出来っこない。

才能か…先祖が強い者の血筋だったか…。


ハルカは布団に顔をうずめた。

くやしい

きっといつかはミコトにぬかされるであろう、そう思うとくやしい

いや——…もう、力では負けているのだ。
それに増して、今日 助けてもらった。命を助けてもらったのだ。そう思うと…

これから どう接すればいいか。

さっぱり さっぱりわからなくなっていた——……
——
「がんばるぞー」
カイが気合を入れる。

「ミコト、行くよ。」
ハルカが促すと、ミコトは言った。

「はい」

(…むかつく)
本当に記憶をなくしてきたミコト。前に何があったかしらないが、人見知りでうざったるい性格はどこやら。

誠実な子になっちゃって。

その分、修行の時には青白い霊力パワーを一層感じる。
(当たり前か…陰陽道厳守霊力が使えるんだし)

ちょうど今日、気まぐれでやって来る小学校家庭教師に、なぜか陰陽道厳守霊力のハナシで問い詰め、結局勉強しなくて済んだ。

でも、陰陽道厳守霊力のことについてはしっかり分かった。

——…やっぱりミコトはすごい人なんだ。

『本当に稀なとても強い…霊力を持った人しか使えない能力なんでしょうかね。何せあのクララギ様もお使いになられないと言いますし、このお屋敷には…居ないのかと。でも、そうなると祈祷師や祓魔師や結界師に居るか…

と言われると少しありえませんね。魔術師なら多いと聞いております』
何気に陰陽道に詳しい教師は言っていた。

あーあ……

面白くない。

でも、こんな気持ちで修行は…してはならない。
失礼がある。

「カイ…」
声がかすれた。

「ハルカ様、どうしました?」
カイがいつも通りやってくる。

「…今日の、修行はやりません。…それから…。そのしゃべりかたやめてくれませんか?微妙に祈祷師らしくなってます。」
陰陽道のしゃべり方に変えて、ハルカが言う

「わかりました。陰陽道らしいしゃべり方に変えられるよう一層努力します…。あと、お気を悪くしたらすみませんが、ハルカさまも祈祷師らしきしゃべりかたですよ。お休みになられるのでしたら、あそこで修行を見物していただけると」
ほとんどしゃべりかたが代わっていないぞ。とは二回目なので言いにくく、カイが指す樹のベンチに座ることにした。

「九字な。」
カイの先輩ぶりも見事だった。

ミコトを丁重に教える姿は、結構だった。

(——こんなんで、最強元帥になれるのかな。)
カイやハルカが目指していたのは最強元帥。

瑠璃ノ樹…いや、紫咲ノ幻影ギルドになるもの、小学生部の元帥に目指す。その心がどんどん高くなっていく。

一番になりたいのだ。

自分たちはもう最後の年になってしまう。
一応中学生部もあるが、中学3年にはかなわないし、中学になると、陰陽道の勉強もふつうの学問もおろそかになる。

だから今のうちに元帥を一回経験することがいいとおもったのだ。

———…だが、元帥発表は、もう残り2週間を切る。

1週間後には、いわゆるテストもある。

テストは、修行でどんな陰陽道の技を取り入れているか、どんな暮らしをし、どれだけの霊力や能力のあるチームなのか チームワークはあるのか。などだ。

「修行終了!今日は屋敷の外の植木を植える日だ。ハルカ様、来ますよね?」
カイの言葉に、ハルカが頷く

「はい」

「ミコト、ハルカ様、俺はこれからクララギ様についていきます。しばらくお屋敷を離れますので」
と一礼した。

カイも陰陽道の才能が高いのだ。読書家で、頑張りやで。真面目で…。

学問もおろそかにせず、約毎週2回、家庭教師が部屋に来ている気がする。

クララギ様についていく…か。
大出世してんじゃん、どこ行くんだろう。

やっぱりカイは、クララギ様からも認められている能力の持ち主なんだな。と、さびしく思っていた時、ミコトが口をひらいた。

「ハルカ様、私はこれから、ウララノ様とパトロールに向かう予定を入れられていますので、カイ様にも言っておいてもらえますか?失礼します!」
ウララノって、クララギ様のお孫さん、ハルカと同い年で、結構力がある人。
いまの元帥候補は、ウララノ様のおられるチーム、銀毬ノ聖

………
カイがどこかへ行くならミコトもどこかへいく。
力があるんだから当たり前だ。

…あーあ。
昔のギルドのほうが楽しかった。
ハルカはしみじみそう思った。 結構チームワークも固まってきたかな。ミコトともうまくやれそうだし、カイともガン合って 元帥になれそう。ただそう思っていた。

でも・・カイとミコトの二人は、ちょっとハルカから遠すぎる気がした。
いつみても進歩していく二人。
シュウやシュリは実力こそは、大きいんだけど気さくで…いつも横にいられる気がした。

でもカイとミコトは違う。

いつも遠くを行くのだ。一歩、一歩いつもハルカの手前に…いくのだ。

———
夜だった。

結局カイは、新しい予定を入れられ植木を植えるのには来ず、結局ミコトと二人、紫咲ノ幻影ギルドに与えられた植木鉢に、植木を植えた。

寂しく思っていたが、このギルドの唯一の救いは、ミコトの笑顔だ。

あれから、少し妬ましくは思っていたけれど、今日の植木を植える時には、印象がバッサリと変わった。

ハルカのミコトにたいする印象もよくなってきて、チームワークも悪くなくなっているんじゃないか?あとはカイだけ。と自己満足していた。