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Re: 琥珀ノ末裔 *忘れられた日* ( No.42 )
日時: 2013/12/27 19:31
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)

「失礼します」
「失礼します」

夜、食事をした後、カイとハルカは、クララギの部屋を訪れた。

今日は水曜日の夜。ミコトの様子を報告せねばならない。

「座ってよいぞ。」
と、周りには、クララギだけでなく、ウララノ、リン、そしてカイの家庭教師、ハルカの家庭教師である サジとモリア…。

「ミコトのようすはどうだ?」
ハルカが戸惑っていると、カイが言った。

「悪くない人柄で、霊力こそは見込めるものです。」
そのあと、ハルカも続けた。

「けがれた心を持たず、優しい人です。」
それは、本当だし。

「そうか、それならいい。変わったことは?」

「…ずいぶん、前と性格が変わりました。」
ハルカが思わず言った。

「・・そうか。」
と にたりとクララギが笑う。

「それではおまえたちに伝えたいことがある…」

「はい」
「はい」
クララギの慎重な言葉に 頷いた。

「ミコトも随分力を持っている…。そして、そろそろ 式神 を使える頃になるであろう」

「式神…か。」
カイが傾いた。

「おまえたちは使えるのか?」
口を開いたのは、リンだった。

「俺は使えます。」
カイが自信満々で頷く。

「市販のものでなければ」
と、ハルカも言う。
市販のものは、霊力があまり詰まっていないので、市販のものが使えてこそ、式神が使えるというのだけど…

「そうか…。」
間を開けて、吐き捨てるようにクララギが言った。

「あの子には黒魔術がかかっておる。 だから、式神、をミコトが自分自身にかけることによって、記憶を失うか…。生活に問題が出る症状が発症したり…。重傷なら主な霊力をなくすか…命を失うか…だ。これだけではない。まだたくさん症状がある」

「…——」
カッとハルカが目を見開いた。

「命を?」

「そんなでかい声を出す出ない。」
と、サジが注意したあと、カイが口を開いた。

「防ぐ方法はないのですか」

「そうだな……。だから式神をやること末は、絶対に行ってはならない。もしもだ。もしも、式神を行ったら…」
クララギが言った。

「…アサギを。アサギを連れてこい。」

「アサギ?」
初めて聞く名前に耳を傾けた。

「…ああ。アサギは、強い霊力ももちろんあり、小学一飛び三年の、花緑青ミレイギルドの一員だ。」


「…でも、どうして。」
と、カイがすがるように言う。

「…あやつは他にはない才能を持っている。 ー







———————朱き力を———————






その力は耐えぬことない。その者のそばに居れば・・・命を失うことこそは無くなる。

もしもだ。もしも、式神を使いそうになる 心配な状況だとなれば、アサギを無理矢理取り入れる。」

「…えと、そのアサギさまとやらは、琥珀ノ末裔…だとか?」
ハルカの言葉に、沈黙が続いた。

「そうかは、分からぬが…。」
と、クララギが迷いげに頷いた。

カイとハルカのことを思って、か。ウララノが口を開いた。

「もう、帰ってください」

「はい」
「失礼しました」
———
瓶覗の間。ハルカとミコトの部屋。

ミコトは、あさから、部屋で勉強するハルカに気を配ってなのか、外で自主的修行をし、カイと言えば、奇術師の国までに、クララギと出発してしまった。

そんなふたり。ハルカは負けたくない。と、さらに修行に力を入れていた。

「そうですね…。禹歩とか反閇だとか 急急如律令の呪文で、3回唱える退魔の陰陽道を取り入れるといいのでは?」
家庭教師に聞いて、さらに修行で扱う陰陽師の技の難易度を上げていこうと一層努力するハルカ。

本を読み、さらに新しい知識を取り入れ、さらにミコトやカイに追いつく作戦を立てていく…

ついには、難関だった式神まで、市販のもので出来るようになった。

カイはとっくにできていたが、ミコトはまだやったことない。と言う。
…でも、よかった。

水曜日の夜のクララギの話。

あれは恐ろしくって思い出したくもないけど。

また、ハルカとカイの親密さが増した。

そんな気がした。

「それでは、学問の方も進めなくては。」
モリアに従って、勉強を進めていく。
なんだかやる気が出る
——
「ハルカ」
朝起き、学問と陰陽道の勉強も終え、食堂へ移動しようとしたとき、後ろから声がし、振り向いた。

「なんですか?」
ウララノだ。

いくら同級生だからと言って、元帥候補が近い今、油断はおろそかだ。——もしかしたら、クララギ様が陰陽道を使って、ウララノに化けているだけかもしれない!
・・なんてわけないか。

「今日、パトロールに一緒に行かせて頂きたい。ミコトが、ハルカがとても見込みがあると言うのでな。」
ウララノの言葉に一瞬びくりとした・・。

「はい。ぜひご一緒させていただきます。」

ミコトがまさかそんなことを言ってくれるなんて、嬉しかった。

「では、今日の夕方、4時 お屋敷前集合で」
と、女物の銀に光る袴を身に着けた、すこし豪華なウララノが去っていった。

ちょっとだけ。ちょっとだけ こんなずるい方法で仕事が手に入るなんて、と、少しだけ怒りも感じたけど…。
やっぱりミコトはいいやつなんだ!!

ミコトに接する態度が、なおも変わりそうだ。。