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Re: 琥珀ノ末裔 *時を刻む結界* ( No.70 )
日時: 2014/01/06 10:08
名前: 環奈 ◆8DJG7S.Zq. (ID: qdhAso1A)

第五話 罠に躓く人

「あなたは…」
ミコトは、偽物なの?と訊こうとして息をのんだ。

キッ——————ン!

「気づかれちゃおしまいだ。……」
その瞬間、ミコトの周りの空気が凍りつくように固まった

息の根を止められたようで苦しい。
床に横たわるサギリを踏んづけてはいけないし、大きな机や荷物のせいで部屋が狭く いままで自分たちが座っていた椅子を蹴飛ばしても身動きが出来ない。

「…」
目の前のクララギの姿がおかしい。ミコトは カイの事件と何か混合しているだろうと思い、身構えた。

とりあいず、机の上に置いてあった画用紙をくるりと円形に丸め、刀のようにして持つ。

向かい打てるものがあった方が安心できる。

「…?!」
クララギが動き出したと思い 戦闘態勢を固めようとしたが クララギは踵を返し、ミコトに背中を向けた。

…え!

そのまま壁に突進する。
黒い闇だ。

壁のはずのそこを するりとクララギが通り抜けた

「え!」
とにかく中に入ることが先決だ。
クララギの後を追って ミコトは机を飛び越えて走り出す。

「…」
呪文

呪文を唱えればいい。

ハルカを助けた時のように。

いくらミコトだからと言って クララギに勝てるなどとは話が違う。

でも向かい打つくらいはできる。

いま呪文を唱えて クララギを捉えることぐらいできたはずだ。

——待って


…呪文が



呪文がわからない…



ハルカ様…

サギリ様…

カイ様…

ウララノ様…

みんな…


助けて…!