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Re: 琥珀ノ末裔 *時を刻む結界*【罠に躓く人 更新中】 ( No.85 )
日時: 2014/01/20 20:15
名前: 瑠々奈 (ID: qdhAso1A)

toノドカ

「…起きろ。」
その冷ややかな声で目覚めた。

「…!」
寒い

「大丈夫か?」
目の前に、シュンが居た。

「あ、さっぴょん目覚めたんだ」
と、向こう側に居たソノも、さっぴょんも心配そうに目を潤ませながら近寄ってきた。

ココ…ドコ?

「大理石の下敷きになった、サヤカとノンの救助が出来なくて、騒いでたら」
と ソノカが言うのに シュンが続けた。

「ユギ長が来ていて、ここは さっきの大理石の場所から少し離れた場所さ」
シュンがそう言った。

「じゃ 行くぞ。ほっほっほ」
横でおじいさんが立ち上がった。

「ユギ様?…」
あたしは シュンが知らぬ間にあたしを背負って 歩き出そうとしているのを感じ、

「な…なんで!?」
と慌てて言った。

「ああ? おまえ歩けねえだろ。ボロボロだ」
気まずそうにそう言うと、ユギを先頭にシュンが歩き出す。

「あ、ノン、これ…」
ソノが渡してきたのは、先ほどユギにもらったコサージュ付きカチューシャだった。

「…ありがと!」
よくわからないけれど 落としたらしい。

「すぐにお屋敷は見えるはずなのじゃがのう」
ユギがそう言い、立ち止まるよう指示した。

「どうしたんですか?」
おぼろげにノドカが呟いた。

「キティキティ・グべグベレ・ムリジュ・ウリジュ・バサア・ワインユ」
訊いたこともない呪文だった。

「…すげ」
シュンが目を瞠った。
シュンの背中からだからあまり見えないのだけれど、優秀なシュンが尊敬する目を向けているのだから すごいものなのだろう。

ギルド長だけある。

「我の名はユギ。さあ わしの守護妖怪ワインユよ 咲妖瓶久鄭までの道しるべを作ってくれ」

『わかりました!』
光を伴う ワインユと呼ばれた守護妖怪が目の前に居るようだった。

…凄いよ。

ノドカにも凄さが分かる。
自分の仲間 すなわち守護妖怪は、自分に守護するから もちろん自分にくっついている。
しかし、たいていの場合はいうコトをあまりきかなかったり、しゃべることも不可能だったり 使い勝手が悪く、古くの妖術師はあたりまえのようにもっていた守護妖怪は 今では使う者も少なくなっている。

『それでは こちらへどうぞ』
ワインユが光を灯し 進もうとしたが…

「……待って」
サヤカは声を発した。 なんだかフクザツになってあたしもサヤカの方を見る。

「どうした?」
シュンが振り向いたのと同時に、サッとノドカは 背中から降ろされた。


「———…気分が、悪い」