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Re: 琥珀ノ末裔 *闇を詠う刻印*【闇術の刻印(6話)更新中】 ( No.89 )
日時: 2014/01/21 17:37
名前: 瑠々奈 (ID: qdhAso1A)

toソノカ

真面目やってきたんだ 誰にでもいい子ってみられるようにさ

小さいころは、サヤカよりも何でもできた。

妖術を使えるようになったのも ノドカとサヤカより先だったし、物心つくのも早かったし 何事もソノカには出来がよかった。
病弱なサヤカに、面倒くさがりで、外で走り回るタイプのノドカ。

その二人の中で、お母さんは ある意味 わたしを一番愛してくれなかった。
幼いころから 病弱だったサヤカに付いていたし、元気で活発なノドカも問題を起す故、お母さんは ふたりには目をつけていた。
私にお母さんは何時も ほめてくれた。なんでもできるし 三つ子の中で一番しっかりしてるね。って

でも やっぱりお母さんはサヤカの方を向いている。ノドカもソノカも、それにウンザリしてしまった。

次第に、ノドカとソノカは手を組むようになった。

サヤカに意地悪して その度に サヤカが泣いて 自分が怒られる。

それを繰り返すうち、二人はそれに飽きて、ノドカは外へ遊びに、ソノカは園の友達の元で妖術の練習や勉強をしていた。

サヤカには それができない。
どんなけ羨ましく思ったか 分かったもんじゃない。
でも まだ…私はひとつ愛情をもらってない

今となっては サヤカに全て負けている。

悔しいけど 塗り替えられない

サヤカは どんどん進歩していくのに、わたしだけなぜか 止まったまま逆戻りしてる。

ノドカだって 前みたいにおちゃらけてなくなった。と最近思うようになった。
密かに ノドカの気持ちもわかっていないわけではない。

ノドカは、一番 父親似だ。
わたしは、父と母を半分こした感じで
サヤカは、母親似で本当に美人だ。

なんでだろう。

なんで サヤカは私が欲しいものばかり持っているんだろう。

わたしは要らないものばかり持っているのに。
欲しけりゃくれてやるのに。

わたしが本当に欲しい物を、誰も私にくれはしない。

でもなぜか 今は憎めない
なんでだろう。

なんだか憎たらしい

もう サヤカにかなうことはないと分かっているから ノドカを敵にする。
わたしのほうができるから、少し満足する。
でも…。
——
「目覚めた?!」
わたしは、目を見開いたサヤカを見て、飛び上がった。
横でぐーすか寝ていたノドカも、つられて喜ぶ。

もう、決心した。

二度と ノドカに構わない 二度と ノドカとしゃべらない。
喧嘩になるから。
誰のためでもない。わたしがウンザリしたから ただそれだけ。

「…わたし…」
サヤカはくらりとし、用意された布団から起き上がった。
心配そうに、シュンがユギへ目をやると、

「だいじょうぶじゃよ。ワインユの術がちゃんと効いておる」
と笑うユギの顔が揺れる。

ここは お屋敷。
初めて入るから ちょっと手続きを踏んだ。

妖術師として、これから、わたしは過ごす。

「ングア!」
わたしが言うと、荷物が落ちてくる。見事にキャッチ。
でも、服とかそういうのは、ちゃんとしたものをお屋敷で用意しているみたいだから いいんだけどね。

と、しゃんっと戸が開けられた。

「妖星夢ホシクズギルドの皆さま、咲妖瓶久鄭へ ようこそ。わたくしは、これから皆さまのお世話係となる、わたくし、ウタ(唄)と、シュン様の特別家庭教師、クロラ(黑羅)様でございます」
そういうと、ウタはさがった。

「クロラだ。今回は シュン様の特別教師だが、見込があるようなら、他の三人も見る…」
(なんなんだ!)
わたしは、ちょっとピクんとなった。
クロラは、シュンを優しい目付きで見ると、つぎにサヤカを見、ノドカとソノカを睨んだのだ。
言いたいことだけ言うと、有無を言わさず、クロラは下がり、戸の向こうの暗闇へ消えた。

「そういうことでございます。ご用意するものの場所などは、その一覧表から見られます。*ボロ・ングア*」
そういうと、そのままウタもさがる。

(なんか いらっとくる)
ウタは敬語でやさしそうな丸顔の者だが なんだかなーと言う気分になるし、クロラは初見そうそういい気じゃない。
まだしゃべったことないんだし おこることないけど、さっき見た変な…その 幼き頃の自分の夢が頭をついて離れない。

哀しくて涙が出そうで、思い出したくないのに、なんか嫌になる。
ふと、ノドカの方を見た。

唇を引き結んで、カッと顔を赤くしている。

(むかついてるだろ…)
内心そう思いつつある。

でも発展すると、ケンカになるので変なことはしない。


(結局 自分が自分に見縊ってる)


真面目な自分が 嫌になる。



———自分はずっと、闇を背負ってる