コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 琥珀ノ末裔 *混沌と陰謀を抱いて*【祝 参照300!】 ( No.92 )
- 日時: 2014/01/23 16:34
- 名前: 瑠々奈 (ID: qdhAso1A)
「…朱い陰謀…いま 混沌するでない——ここは美しい 朱い 紅の緋色 静けさこそが 琥珀ノ者を表す」
にっこりと ほくそ笑む。
その声の主は 知っているようで 分からない・・・・
いくら記憶の底に潜り込もうとしても、思い出すことさえも難しい。
また読み返されるように流れる
「アイト…アイシュ…ユウユ……ノゾミ……ミコト…あと、ひとり。」
この言葉
。ミコト。ふつうに居る名前だから 私では無い、他の他人だと思っているが、流れる記憶に頼っても声に頼っても等しいことはわからない。
「あと ひとり……あとひとりだ…アサギ…」
繰り返されるムービー。その声の主は そのあとひとりを アサギだと明かしている。
。ミコト。アサギ。
「アイト…アイシュ…ユウユ、ノゾミ…ミコト…アサギ」
この6人がなんだというのだろうか。声に出してみたも、分からない
「そうだな。ミコトの顔色も随分良くなった。 これからは暫し 修行に励むように」
重くズッシリとのしかかるクララギの声で 我に返る。
占い師から話を聞いているみたいな部屋で、カウンターの奥にクララギ様が居る。
そのカウンター越しに、椅子を4つ固めて ミコトたちは椅子に座っていた。
普段座敷なので、椅子は慣れないのだが……
『はーい』
また アレからソレから と時間は経つけど、私の記憶が戻ることはなく…
かといって変わったことも起きなくて。
「もー、しばらく修行してなかったから弛んじゃったよ」
と、足をパンパン叩くハルカ。
「修行」というものは してないみたいだけど、ハルカやカイ、アサギと触れ合う機会は ミコトにとってはかけがえのないことだった。
最近、ハルカを見ると、思い出される フクザツカイキな記憶
一部は飛び飛びで、意味が解らない。
元帥を目指していた・・ハルカ。結局 元帥決めは後回しだったけど、今に自分が元帥とか言うものなのだから、やっぱり最終的には何か起きていたのだと思う。
記憶を失っているはずなのに なぜか一部のことを覚えている。
だから なんとなく親近感沸いて話しかけて見たり。
つまりは どこかの記憶がスッポリ抜けただけなのかとも思う。
昨日 今日と行われる出来事が、全て頭に書き記されていく。
やっと クララギという存在が凄い人だと気付いた。
そうだ クララギ様に訊けばいいんだ。
そう思った私は、後で時間を作ってもらおうと頼むことを条件にクララギの元へ近づいた。
「クララギ様」
「なんだ?」
クララギ様が振り返る
ハルカとカイは先に出て行ってしまった。ミコトが 後ろから来ていると思ったのだろう。
「わたしの記憶は、失ったものばかりじゃなくて 少し覚えてる所があるんだ。」
そして 知っていることを全て吐き出すと
「……急急如律令 耳」
クララギが小さく言った。
「っ…」
よくわからないが そのまま吸い込まれるように倒れた。
——————
「ふうん、そんなことが。やっぱり覚えてたんだ」
ハルカは、のんびりとつぶやいた。
ここはさっきと同じ、クララギの部屋。
でも、人も時間も違う。
水曜日の、夜。ハルカとカイとアサギ。ミコトの容態を伝える ということは、もうずっと前から行ってきたことだ。
ハルカたちは、ミコトが昔のことを覚えていたことをクララギにきいていた。
この前、ミコトが覚えていないはずのサギリを知っているというから、オカシイとは感じたところはあったのだが。
「記憶が残っていた。のだとするとマズイ。まずそれは、前から消した記憶のはずだしなあ。今の所は、ついさっき唱えといた力のおかげで、忘れていると思うが」
クララギがため息をつく。
「クララギ様の力でどうにかならないか。覚えていて欲しいところだけ覚えてさせておき、消したい記憶だけ消す陰陽道」
ハルカが言う
「今は記憶がなくて無帽なミコトだけど、記憶が戻ったり、呪文を知ったりすれば、クララギ様がおかけになった 陰陽道も解除されますよ」
カイが真剣に言う。
「でも もう少し様子見するしかないんじゃないでしょうか。今の所はどうにかおさまっているし、結局記憶が戻ってしまったら、ミコト先輩も気づくんですよ」
口調の変わったアサギが言うと
「そうだな」
カイも、クララギも頷いた。
でも、どうしても5人は ミコトの記憶が戻らないことを願うしかなかった。
「このまま、ミコトの記憶が戻らなければいいのに」
そうつぶやくしかないハルカだった。