コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 琥珀ノ末裔 *混沌と陰謀を抱いて*【祝 参照300!】 ( No.96 )
日時: 2014/01/28 19:17
名前: 瑠々奈 (ID: qdhAso1A)

それから幾らか日が経ちつつあり、元から霊力と才能のあるミコトは、次々と、今まで出来ていた実技をこなすようになった。

忘れていた九字などなどの修行内容も覚えてしまった。

自らミコトの記憶を取り戻させていることに苛立ちさえ感じるハルカたちである。

「立春、もう少しですね」
アサギがニッコリ笑う。

ここは、翡翠の間
ふだん、紫咲ノ幻影ギルドが使う場所

「ちょ…アサギ!笑って言うコトじゃないだろ!こっちにとっては大騒ぎなんだよっ!」
とハルカが、バンと机をたたいて、立ち上がる。
この二人も、当初より仲良くなったものだ。

「立春?…って。陰陽師認定ってヤツ…?」
ミコトが言う。
今までよりも口調もフツーっぽくなってきてしまった。が、いままでよりも愛嬌があると言えばそうだ。

「陰陽師認定は、夏至・冬至の二至と、春分・秋分の二分で合わせて、二至二分に行われるけど、四立・・つまり、立春・立夏・立秋・立冬は、元帥に関わる日なんだ。いつも立春の日に決める。残り3つは、元帥の相談に使われる日なんだ」
と、カイが言う。

「…元帥を決める日?」
ミコトが、あっとなる。

「二年連続、元帥は出来るんですか?」
アサギが言うと

「ああ、できる。でも、今の、紫咲ノ幻影ギルドじゃ、二年連続は無理な確率の方が高い」
と、カイが言った。

「でもさ、あたしたちの年は、元帥の仕事が無い年代だったじゃない?あたしはスグ卒業になっちゃうけどさ、せめても元帥やってたいじゃない?」
ハルカが言う。
ハルカは六年生なので、4月には進級。中学部で頑張るのだ。

「そうだよな。俺らはなー」
と、カイが伸びをする。

「何が何でも王座は譲らないから!」
とハルカが、席を立ち、瓶覗の間に向かう。
これから勉強するというのだ。

——
そして話は戻り…。この日々の一年前のことだ。

暗闇の中で、ふふっと、その少女が、少年に向かって言った。

「ねえ、ラニ。あなたは陰陽師の身体を借りているんでしょう」

「そうだ カイ。と言ったかな」
と、ラニと呼ばれた少年は頷いて、

「これで、アサギまで揃った。」
と言う

「では 儀式を始めましょう。皆、集まって」
そう言うと、色んな人が集まってきた

「ウェネ・ングア パラル様 パラル様 我にお力をお授けください。この通り、朱き血を持つ者をいけにえとして六名集めております」
そう言うと、その少女の前に、魔獣が現れる。

「良いだろう。」
そしてその少女は続ける

「わたくしは、闇術師で黒ノ呪団のカンナでございます」
その横で、少年が立ち上がり

「俺は、闇術師のラニだ。陰陽師カイの姿をしている。」
そしてまたその後ろの暗闇から歩いてきた少女が居た。

「私はエレナ。闇術師の黒ノ呪団。」
冷めた声。

「あたしはステラよ。闇術師の黒ノ呪団よ」
と言うと、パラルは満足そうに舌舐めずりして、言った。

「お願いとは なんじゃ?」
その言葉の答えを、代表してカンナが皆の前で言った。

「この世界から、朱き力を持つ者・・・つまりは、琥珀ノ者たちと、 深藍ノ者の血を継ぐ者を消してもらいたいのです」
と言うと、

「…なるほど。良いじゃろう。これだけおいしそうな いけにえにかなうものなどないからな」

「ありがとうございます」
と、カンナは一礼した。

「カンナ、闇術の才能あるな…」
妖術師なのに、とラニが微苦笑した。

「そうね。元は闇術師のほうが向いていたのかもしれない」
ノドカ…いや、カンナはくっと笑った。

妖術師と闇術師の間に生まれたと言うコトは、犯罪に近いことなので、偶然聞いてしまったノドカだけしか知らない…ということはさておき。
ノドカの母親は、妖術師。
ノドカの父親は、闇術師だったが、父親は、ノドカたちが幼き頃 他界してしまったために、三つ子たちは、母親の妖術の血を引き継ぐことを決めた。

だが、サヤカのように、母似であれば良いものの、ノドカは一番父親似。だから闇術師 の方が才能があった。とは言っても可笑しくなかった。

「待て!!そんなこと、させてたまるか!!」

「誰だ!」
ドアがバァ——ンッ!と音を立てて開き、その場所に現れた者に向かって、エレナが鋭い声を投げかけた。

「何者だ!」

「何者だ!じゃない!俺はサギリだ…!陰陽師、サギリだ!!もう一度言えば分かるか? 紫咲ノ幻影ギルドの サギリだ!」
やかましいとばかりに、ラニが言い放った。

「ほう…!おまえがサギリか!!これで朱色の種族の7人がお出迎えじゃないか!」
と言うとパラルの方へ向き直り、

「パラル様。もう一人、いけにえを差し上げます」

「ほう、もう一人か」
とパラルが言う

「こちらの者です。この7人こそが、朱色の種族でございます」
ラニが意気込んで言う。

「カイ様…?!」
サギリは、ラニの姿を見て、呆然とつぶやいた。
——
「…っ!」
ミコトは目覚めた。

「…また、悪い夢を見た」
夢と言うか記憶だ。

寝ているときは、頭も完全無防備になるから、記憶自体をコントロールできない…。

最近の、ミコトの悩み

それは…

見たくもない記憶を、知らぬ間に思い出してしまうこと。

「…カイが…ラニ?」
数年前に起きたことと、自然と噛みあってしまう気がして、ミコトは頭を振って、呟いた。

「闇術師なんて…あるのか」