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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Ⅹ心を失った少年と人工人形Ⅹ ( No.2 )
- 日時: 2013/12/10 21:06
- 名前: のら (ID: A6qXPnRR)
Ⅹ第一話Ⅹ【記憶】 ◇琥珀side◆
…ちゃんと聞こえてる。
ちゃんと届いてる……だから。
そんな風に泣かないでくれ。
そんな風に悲しまないでくれ。
俺は…今まで心の底から人を信じることが…出来なかった。
笑っていても
それは、ただの「作り笑い」に過ぎなかったんだ。
「とりあえず」笑っていれば何事もスムーズに終わることができた。
そんな自分自身が大っ嫌いだった。
『え?いいじゃないですか、それが琥珀の良いところの1つなんですから。人間らしくて、とてもいいと思いますけど…?』
…お前のその言葉は一瞬で俺の世界をブッ壊してくれた。
小さくて空虚で、真っ暗で真っ黒だった俺の世界を照らしてくれた。
なぁ?
今度は俺がお前を助ける番なんだよな?
…でも、もう遅かったみてぇだ…。
俺はお前のこと、ちゃんと見えてるのに
さっきからお前に、触れることが出来ないんだよ——。
ごめん。
ほんとにごめん。
「…ごめ…んな…っ」
こんな俺のために泣いてくれて
ありがとう。
こんな俺のために涙を流してくれてありがとう。
俺はそれだけで、もう十分だから。
前を見ろ。
俺のことなんか忘れてしまったっていい。
お前の一生分の時間を
尊い時間を
生きてくれよ。
…お願いだから
幸せになってくれ——。
なんて事を言うのは無責任すぎるのかもな…。
お前は人工的な人形だ。
お前はその事を気にしていたようだったが…
俺はお前がどんな人間よりも、人間らしいと思ったよ。
…こんなこと、今更だから言えるんだけどな——。
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