コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Ⅹ心を失った少年と人工人形Ⅹ ( No.3 )
- 日時: 2013/12/11 18:10
- 名前: のら (ID: A6qXPnRR)
Ⅹ第三話Ⅹ【俺の居場所】 ◇琥珀side◆
「大変だったわね、琥珀くん——『かわいそうに』…」
俺は昔から体が弱かった。
入退院を繰り返すこと——約三年半。
俺の耳に入ってくる言葉はいつだって「かわいそうな子」「気の毒」
…そんな憐れみの同情の言葉だった。
そんな言葉にはもう、うんざりだった。
その言葉のせいで俺は——…。
愛想笑いを浮かべて、人の機嫌を取るようなそんな人間になり果ててしまっていたのだ——。
「俺は…かわいそうなんかじゃ…ねぇよ…ッ!」
「え——…?琥珀くん!?ちょっと……診察が…——」
ある日、俺はとうとう耐えられなくなって、病院を抜け出した。
その日はちょうど雨の日で、降り注ぐ雨を避けるように、逃げるようにして走ったのだった。
「…ただいま…」
俺が帰れる場所は1つだけだった。
両親は海外で仕事をしており家には帰ってこない。
親の顔なんてとっくに覚えてもいなかった。
そんな、随分とひねくれてしまった俺の唯一の居場所。
——俺の家。
暗くて家具も少なくて、そしてなによりもさみしい家だったが病院なんかに比べたら居心地はいい。
俺のほかには誰もいない——俺の居場所だった。
勿論「ただいま」なんて呟いてみても「おかえり」と返してくれる人などいないのだが。
「…今日もやるか…」
そう。
たまに病院から、こっそり抜け出しては創っているもの…。
「人口人形」…いわゆるロボット。
…初めは…憧れだった。
「友達」が欲しかったのだ。なんでも語り合えるようなそんな友人が。
ただ、俺にいまさら友達を作る勇気などなかった。
友達の作り方なんて、ずーっと前に忘れてしまったような気がする。
…そんな臆病な俺が考えたのは「人口人形」を創ることだった。
え?「お前だけじゃそんなもん創れるわけない」って?
…それが、創れるんだ。
俺はもともと体が弱くて、その影響なのかは分からなかったが、学校にろくに行っていなくてもとりあえず成績はトップを取れるし、というか取れないことのほうがおかしいと思うのだ。
体が弱い分頭が良い…みたいな事なのかもしれない。
その頭脳のおかげでロボットなんてものは簡単に創れたりする。
…神様ありがとう。こんな頭脳をくれて。
…まぁ、神様なんて信じちゃいないけど。
…もしも
もしもの事で…俺が人口人形を完璧に創り上げることが出来たなら。
その時は俺の居場所も……
少しは増えたりするのだろうか——?