コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 6年生少年少女 再開編 6 ( No.105 )
日時: 2014/02/12 18:42
名前: 目玉ヤロウ (ID: QQsoW2Jf)




23話



たまにいるよな、こうやってイキナリ話をブッ飛ばす奴。
もう、意味分かんないし。

中村は、目の前の爽やか変態少年を、道端に落ちた汚物を見るような目で見つめた。

そういえばこいつ、なんて言ってたっけ?ん?
彼女はいるか——、だって?

中村は苛立ちを隠さずに、わざと皆に聞こえるよう、盛大に舌打ちした。





いるわけねーじゃん!!


小学生でリア充(笑)?節分の豆と一緒に消えてなくなれ。
羨ましいの?なんて聞かないでよ、小学生ごときの恋愛事情なんてたかが知れてるし。

あー、馬鹿馬鹿しいやら、アホアホしいやら…。

はづきははづきで、この世の者とは思えない《負》のオーラを醸し出しながら、たくを表面上は笑顔で、内面では…表記することのできないような顔で、睨み付けた。





「「いない」よ?」
「見事にハモったね!2人とも!」

2人の心の内を知らないたくは、中村とはづきを見て、にっこりと笑う。

「じゃあじゃあ、好きな子の1人や2人はいるってことだねっ!」

——とんでもない思い込みをして。

「いやいや、そういうコもいないからさぁ」
(……やばい、こいつとまともな会話できる自信がない…!)
「えぇっ?そうなのかい?」
「うーん…タイプの女子像はあるんだけど…回りにいないっていうか?」
「へぇぇっ!神無月君は理想が高いんだね、頑張って!!」
「ふふふ、頑張るよ。…あと、俺の名前、『はづき』だから。月が違うから」
「おっと!ごめんね、はづき君」

いつもの調子を取り戻しつつあるはづきは、先程放出していた《負》のオーラを引っ込め、普段のニヤニヤ笑いになっていた。
中村は、まだたくを警戒しているらしく、自分からたくまでの距離をおいている。

「そっちの…浜村…君も、好きな子がいるのかい?」
「………………中村、だし」
「ははは……、ごめんね、僕、よく人の名前を間違えちゃうんだっ」

屈託の無い笑顔でそう言うたくを、中村は冷ややかな目で睨み付けた。そして、最低な一言を発した。

「…そんなこと言って、そこら辺にいるような他人に興味ないだけだろ?」
(中村さん…、よくもまぁそんな最低な返しを…)
「ごめんね……、あぁでも、次からは絶対間違えないから、安心してっ!中村君!!」

——が、たく相手には効果がなかったようだ。

(………疲れる…っ!!)
「あっ、まだ質問に答えて貰ってないや!!」

しかも、またもや話題は『好きな子はいるのかい?』に戻ってしまった。

「………………いない……」

苦虫を噛み潰したような表情+嫌味なほどの小さな声で、中村は呟くように返事をした。

「本当なのかい?」
「…しつこいなお前…!」

ずいっと距離を縮めてきたたくを、迷惑そうに、はづきを盾にして回避する中村。

そのまま妙な攻防戦を繰り広げるたくと中村の様子を、中村の盾役になっていたはづきは、面白いものを見るような感覚で2人を傍観していた。



——そして、なにかを思い付いたように、ニヤリ、と、不気味に笑う。



これが修羅場を生み出す原因になるなんて、その時は皆、思ってもいなかった。





「…………中村さん、盾になってあげた料……、ちゃんと払ってね」




もう、後戻りは出来ませんね。続く……(できれば再開編は次回で最後にしたいです)。