コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 6年生少年少女 再開編 6 ( No.105 )
- 日時: 2014/02/12 18:42
- 名前: 目玉ヤロウ (ID: QQsoW2Jf)
23話
たまにいるよな、こうやってイキナリ話をブッ飛ばす奴。
もう、意味分かんないし。
中村は、目の前の爽やか変態少年を、道端に落ちた汚物を見るような目で見つめた。
そういえばこいつ、なんて言ってたっけ?ん?
彼女はいるか——、だって?
中村は苛立ちを隠さずに、わざと皆に聞こえるよう、盛大に舌打ちした。
☆
いるわけねーじゃん!!
小学生でリア充(笑)?節分の豆と一緒に消えてなくなれ。
羨ましいの?なんて聞かないでよ、小学生ごときの恋愛事情なんてたかが知れてるし。
あー、馬鹿馬鹿しいやら、アホアホしいやら…。
はづきははづきで、この世の者とは思えない《負》のオーラを醸し出しながら、たくを表面上は笑顔で、内面では…表記することのできないような顔で、睨み付けた。
☆
「「いない」よ?」
「見事にハモったね!2人とも!」
2人の心の内を知らないたくは、中村とはづきを見て、にっこりと笑う。
「じゃあじゃあ、好きな子の1人や2人はいるってことだねっ!」
——とんでもない思い込みをして。
「いやいや、そういうコもいないからさぁ」
(……やばい、こいつとまともな会話できる自信がない…!)
「えぇっ?そうなのかい?」
「うーん…タイプの女子像はあるんだけど…回りにいないっていうか?」
「へぇぇっ!神無月君は理想が高いんだね、頑張って!!」
「ふふふ、頑張るよ。…あと、俺の名前、『はづき』だから。月が違うから」
「おっと!ごめんね、はづき君」
いつもの調子を取り戻しつつあるはづきは、先程放出していた《負》のオーラを引っ込め、普段のニヤニヤ笑いになっていた。
中村は、まだたくを警戒しているらしく、自分からたくまでの距離をおいている。
「そっちの…浜村…君も、好きな子がいるのかい?」
「………………中村、だし」
「ははは……、ごめんね、僕、よく人の名前を間違えちゃうんだっ」
屈託の無い笑顔でそう言うたくを、中村は冷ややかな目で睨み付けた。そして、最低な一言を発した。
「…そんなこと言って、そこら辺にいるような他人に興味ないだけだろ?」
(中村さん…、よくもまぁそんな最低な返しを…)
「ごめんね……、あぁでも、次からは絶対間違えないから、安心してっ!中村君!!」
——が、たく相手には効果がなかったようだ。
(………疲れる…っ!!)
「あっ、まだ質問に答えて貰ってないや!!」
しかも、またもや話題は『好きな子はいるのかい?』に戻ってしまった。
「………………いない……」
苦虫を噛み潰したような表情+嫌味なほどの小さな声で、中村は呟くように返事をした。
「本当なのかい?」
「…しつこいなお前…!」
ずいっと距離を縮めてきたたくを、迷惑そうに、はづきを盾にして回避する中村。
そのまま妙な攻防戦を繰り広げるたくと中村の様子を、中村の盾役になっていたはづきは、面白いものを見るような感覚で2人を傍観していた。
——そして、なにかを思い付いたように、ニヤリ、と、不気味に笑う。
これが修羅場を生み出す原因になるなんて、その時は皆、思ってもいなかった。
「…………中村さん、盾になってあげた料……、ちゃんと払ってね」
もう、後戻りは出来ませんね。続く……(できれば再開編は次回で最後にしたいです)。